大内家氏寺と歴代当主の菩提寺

大内家歴代当主の菩提寺、氏寺を中心として、関係寺社をまとめていきます。

大内家歴代当主の菩提寺、氏寺

氏寺:興隆寺
菩提寺:
大内重弘・大内弘世 乗福寺
大内弘幸 永興寺 
大内義弘 香積寺 瑠璃光寺(現陶弘房菩提寺)
大内盛見 国清寺 洞春寺(現毛利元就菩提寺)
大内持世 澄清寺 
大内教弘 闢雲寺 泰雲寺(現小早川隆景菩提寺)
大内政弘 法泉寺 廃墟
大内義興 凌雲寺 廃墟(国指定遺跡)
大内義隆 龍福寺
大内義長 功山寺 ※菩提寺ではないが「墓所」がある。

その他一門関係個所

教幸(盛見・子)菩提寺 広沢寺
大内弘直 菩提寺、墓所 普門寺
大内持盛(義弘・子)菩提寺 観音寺

大内家氏寺・菩提寺考

現状

菩提寺は、その多くが今は廃寺となってしまっている。
文字通りの廃墟となったり、あるいは名を変えて、別の寺院として存続している場合もある。逆に、名前は同じでも、場所が変わっていることも。

そもそも創立当時の建物がそのまま残っているケースは稀。
ほぼ皆無と言ってよい。
何らかのかたちで、奇跡的に残っている場合は間違いなく国宝クラス。

日本家屋の特徴として、木造だから火災などで簡単に燃える。
長い歴史の中で、戦争、自然災害などの不可抗力であっけなく消失の憂き目にあった文化財は数え切れない。
そんな困難な状況下でも、大切に守られて来た文化遺産でも、経年劣化による損壊の危機は免れない。今なお、現代の巧みたちが、熟練の技を駆使して、解体修復工事を繰り返しているのだ。
人々のたゆまぬ努力で、守り伝えられてきた文化遺産を、これからも大切にしていかねばならない。

大内家の菩提寺も、かつての面影はない。
それでも、「跡地」として「立て看板」など何らかの目印がある限り、そこへ向かう価値はある。

廃墟と化した訳と毛利家による補修保管

大内家の菩提寺が廃れてしまった理由は、お家の滅亡によって、管理する人々がいなくなった、ということが勿論大きい。
我々とても、墓じまいなんてことを話題にしている昨今、墓参りや法事など行わなくなって墓所を放置、寺にも挨拶に行かない、という現状であるから、イマドキは寺院の経営というのも難しいことになっている。
今よりは信仰心が篤かった中世の人々と寺院の関係であっても、大大名の菩提寺という地位にあった名刹が、保護してくれる大名家が消えてしまったとなれば、経営は苦しくなって当然である。
加えて、大内家を滅ぼした毛利家、特に、江戸時代、防長の地に「押し込められ」ることになった毛利家にとって、かつての大内家の栄耀栄華の名残である建造物を「目に見えるかたち」で存続させていくことは、いつまでも地元の方々に、大内家への思慕の念が継承されていくという点から望ましくなかったらしい。
それで、転封後の最初の当主・毛利輝元は、大内文化の残照とでもいうべきそれらの建造物を破壊してしまったらしい。
大内文化研究の権威である先生方のご本で、ちらとそのような記述を見かけた私は衝撃を受けた。しかし、毛利家にしても、毛利元就の墓地などは広島県にあるわけで、ゆかりの深い土地から追い出されて辛かったであろうな、と思う。
それに、寺院の移転というのは、けっこう至る所で行われているようで、何も毛利家に限った事ではない。寺院自身が財政難で身売りしていたり、諸々の事情で、元○○寺跡地に移築された××寺というものは珍しくない。
さらに言うと、実際には、毛利家が補修工事を行って来てくれたお陰で、現在まで存続している寺社も数多いのであって、いわば、大内⇒毛利の連係プレーで今に伝えてくれたのである、と考えている。

一言

ところで、菩提寺というと我々下々の者にも「先祖代々の~」があるわけだが、たいていは○○家の菩提寺、ってことになっているものかと。なので、曾祖父母、祖父母、両親、本人、子ども、孫……と一族はすべて同じ寺となるはず。
無論、結婚して他家の戸籍に入ったり、家出したり、立身出世して、実家を遠く離れて、あらたに墓地をつくるケースもあるだろうが。
陶家のところで見た通り、陶家には陶家の菩提寺・龍文寺というものが存在した。で、あるならば、大内家の菩提寺、というものがあって、先祖代々そこに……と、なりそうな気がするのであるが、ここは当主ごとにそれぞれ菩提寺があるのだ……。
お殿様と家臣とでは格が違うってことでしょうか。
よく、中国の皇帝なんかが、生前から死後己が埋葬されるべき墳墓の建造を始めていて、生涯墓づくりやってた、なんて笑える話を昔読んだ気がする(記憶の彼方です)。
寺とはいえ、生前から建造を始め、当主ごとにそれぞれ異なっている、さらに、人によってはお一人でいくつもの菩提寺がある、というのはすごいことです。もはや中国皇帝の古墳並じゃないかと思う……。
やっぱ、大内家はスケールが違う……。というより、別の大名家でも普通、こんなもんなのだろうか。