応仁雑記

東西両軍の組み分け ~ゴチャゴチャ人間関係・其の二~

2020年12月15日

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於児丸通常イメージ画像
於児丸

これからちょっとずつ人物関係の説明に入っていくよ。

足利一門衆繋がり図

足利系図

一門とか血縁、由来はどこから? って思って載せてみました。

こうやって見てみると、山名も細川も元々は一つ枝です。
ただし、足利姓が分かれ出たと同時に新田姓として分かれているから「足利氏」じゃないわけ。
大内さんと陶さんも多々良氏としては同じ枝なんです。
彼らは源氏でも平家でも藤原でもないので、どれだけ遡っても僕たちとは繋がらないけど。
先祖は「異国の民」だとか。でも、「王族」。「高貴」なんだそうです。

東軍

山名持豐=山名宗全なので、要注意。
赤松、京極と細川家の関係は緊密だね。
父上も彼らと血縁だったわけか。
彼らは終始一貫団結していた。
赤松再興軍のところで誰かが話していた気がするが、赤松家の復活に力を貸したのは細川家。そのときの恩があるし、ここは鉄壁の協力関係。さらに言うと、そもそも、山名と赤松は犬猿の仲。嘉吉の変後に赤松家討伐で頑張った山名家は、旧赤松領を大量に手に入れたから、それを取り戻さねばならないという至上命題も存在していた。
山名家は、細川勝元を娘婿にすることで、この力関係の中に楔を打ち込んだつもりらしいが、血縁といえども権力争いや利害関係が絡むと血みどろになるのが普通。
もはや、たかが娘婿だよね。

関連系図

東軍系図

へええ。於児丸の母親って京極家の出身だったのか。
……という質問が。
じつは、リサーチ不足でよく分からないんだ……。通説レベルだと、僕の母上も、父上の母上も誰なのか書いていないから。研究なさっている先生も史料もあるんじゃないかと思うんだけど。ただ、女性については系図上、よく分からないことが多いのはどこも同じ事情。仮に父上の北の方がこの女の人だったとして、僕や妹がこの母上から生まれたのかどうかまでは、この図からは分からないね。少なくとも……奥方が一人だけというのは、かなり稀なケース。

――何!? つーことは、お前が血統書付きかどうかってのは、確証ないってことじゃんか。何を根拠に俺ら親子を馬鹿にしてんだ、てめぇは。

と、畠山義豐から苦情がきていた。
育ちの悪さがまるわかりの発言だねぇ。彼の祖母にあたる人に問題があったと言われているだけで、ほかは本人も含めて史料は空白なんだよ。でもたいてい、「母親の身分に問題があった」って叩かれるはずだから、それらの通説がなければ、そこそこの血筋のはずだよ。

主な人物

細川一門:淡路守護・細川成春、阿波守護・細川成之、和泉半国守護・細川特有
四職家:飛騨・出雲・近江半国守護、京極持清
その他:赤松家当主・赤松政則、駿河守護・今川義忠、若狭守護・武田信繁、豊後守護・大友親繁、肥後守護・菊池重朝、大隅・薩摩・日向守護・島津忠国、元筑前守護・少弐教頼

ええと、血縁関係だから味方になる、というのは理解しやすいけど、身内なのに争っているのはイマドキの民には分かりにくいかな? え? 今でも金持ちの家は相続で揉める? なるほど。ならば説明は要らないみたいだね……。
となると、むしろ分かりづらいのは身内どうしで揉めているわけでも、血縁だから結束してるわけでもないケースかな。
個々の事例はこれから見て行くとして、「権力争い」「利害対立」というのが大きいね。山名と細川がそもそも幕府内ナンバーワンの座を争っていたわけで。また、利害対立は文字通り、領土や貿易の権益などで揉めることだよ。土地は取ったり取られたりだから、領地を接していると揉め事は絶えないし、ここの庭園の主と、細川家が、対外貿易の利権をめぐって激しく対立していたのは有名だよね。

東軍に入っている九州の人たちは、ほとんどが大内家と仲が悪かったからだね。他にも犬猿の仲、っていう人たちはいて、京極持清さんは六角家と、武田信繁さんは一色家と揉めていた。

西軍

於児丸通常イメージ画像
於児丸

断るまでもないけど、細川勝元がここに入っているのは、単に「血縁」だからで、西軍関係者って意味ではないからね。

しかし山名家の婚姻外交はすごいね。ただし、全員が宗全の実の娘って訳じゃないよ。同姓の身内の娘を養女にしてから、ってあるあるパターン。
ここに出ている人たちはだいたい最後まで仲間ってことで頑張ってたけど、斯波義廉のところは、配下の朝倉孝景という大物が寝返る。

関連系図

西軍系図
新介涙イメージ画像
新介

うーーん。ここに載っている女の人は、母上じゃないみたいだな……。

於児丸通常イメージ画像
於児丸

新介様と違って、お父上は風流人っぽい。お傍にお仕えした女の人も数え切れないほどいたはずだよね……

これを見る限り、庭園の主様は随分と西軍の人たちと血縁関係があったんだね。
なんと、細川政元とも名義上は母方の従兄弟どうしですね。

それはそうと、この図の中には、仇敵・畠山義就がどこにも載っていませんね。

大事なのは血縁ばかりとは限らない。何の繋がりがないのに、互いに命を預ける関係、それこそが義侠心溢れる男の世界だって? 確かにどういうわけか、義就人気だけが一人歩きしている感。文学作品の多くに登場しているのはあっち。そのせいで、僕の父上はいっつも「悪役」だ。

ちなみに、新介様のお母上が能登畠山家の出身(養女)だから……つまり、そこから義豐の父親と繋がりはあるはずだよね?
すべてをこの系図に盛り込むことは無理なので、実際にはこれより何十倍も複雑なはず。ただし、すべてを書き出したら溢れるから、そこは仕方ないよね。

主な人物

山名一門:因幡守護・山名豊氏、備前・伯耆守護・ 山名教之、美作・石見守護・山名政清。

於児丸通常イメージ画像
於児丸

ここでびっくりなのは、宗全の次男・山名是豊 (備後・山城守護)が、東軍に入ってしまってこっち側にいないってこと(ゴチャゴチャするので、ここの系図には入れてないけど)。兄・教豊が跡継ぎにたてられたことで、父親に恨みを抱いたみたいだけど。実の親子、兄弟でよくも……。
ん? そういうセリフは従兄弟どうしでけんかしてる両畠山の子孫に言ってほしくないって?

畠山家:義就のほか、能登守護・畠山義統もこちらに味方した。
四職家:丹後・三河・伊勢守護・一色義直
その他:周防・長門・筑前・豊前守護・大内政弘、伊予守護・河野通春、近江半国守護・六角高頼、美濃守護・土岐成頼、三河国の有力国人・ 吉良義勝、加賀守護・宮程成春の次男・宮樫幸千代丸

法泉寺さまイメージ画像
法泉寺さま

「その他」とは?

於児丸涙イメージ画像
於児丸

……。

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