読書ノート

本を読むということ

2020年12月12日

ミル

最近の本

昔、歴史書と歴史小説というタイトルで文章を書いことがある。リニューアルにあたって、その過去記事を探すことはできなかった。確か、「歴史小説」を読んでも歴史を学んだことにはなりません。というような主題であった気がする。

一昔前は、そのような考え方が主流であって、歴史学を志した理由が

 大河ドラマを見て面白いと思ったから
 司馬遼太郎さんの小説が好きなので

のような理由であると、眉を顰める教授たちが殆どだった。

でも、時代が変わり、

 司馬遼太郎から学ぶ歴史

のようなタイトルの本が出ていたり、図解○○、イラストで覚える云々のような本が巷には溢れる。

もはやこうなってしまうと、苔生した古文書にあたりつつ、フィールドワークを積み重ねている先生方はむしろ投げやりに

 入り口はなんでもいいよ。少しでも歴史に興味をもってくれるならば……

というほかない。

ただ、図解でスッキリ、とか馬鹿でも分かるではアウトラインしか分からない。結局最後は

一般向け研究書 ⇒ 書き下し文資料 ⇒ 古文書に挑戦!!

ていうのが、理想。ま、よほどのマニアでない限りはそこまで必要ない。

ミルは古本のまとめ買いが好き。それと同じくらいのペースで、電子書籍や紙媒体の本のまとめ買いもする。世の中にはそれこそ、図解でスッキリに頼らないと理解不能なほど、複雑摩訶不思議な世界がたくさんある。最近は、歴史は古事記や日本書紀から始めないとダメだろう、と思ってるので、ますますそれらに頼らないと。

ただ、そこそこ、読書している領域だと、それらの図表でスッキリとか、馬鹿でも分かるを見るとげんなりする。よくレビューで目茶苦茶叩かれているケースはそれだろう。でもこれらは、ミルが古代の神様についてさっぱりなのと同じく、詳しくない、苦手な方向けに編集されたもの。だから、あれについて書いてないとは……とか、表現が簡潔すぎて、何の役にも立たない。とか批判しては駄目です。
げんに、そのような本のレビューはだいたい二分されてて、褒めちぎり派と叩きのめす派がごちゃまぜ。文字通りの初心者は、「知識のない私でも理解できました」と大喜びなのに、何かの間違いで、自称(?)アマ歴史家みたいなやたら詳しい人が買ってしまうと、何だこれは、あれもこれも書いてなくて、上っ面だけだ、となる。

このような「事故」は、実際に書店で手に取ってみれば、おきないことだと思うんだよね。「買わなければ良い」だけなので。ただ、何でも通販の世の中、タイトルだけで買ってしまうと、このような残念なことになる。

最近のミルは「電子書籍」の立ち読みをする。
例えば、「戦国武将○○○人」なんて本だと、必要なのはここの住人の分だけ。立ち読みでじゅうぶんな分量しか記述がない(そもそもその類の本にはまったく記述がないことのほうが多い)。一般向け啓蒙書でも、このサイトなんかと比較するのはおこがましいほど優れているわけだけど、ミルの蔵書の大内家専門人名辞典みたいな本(具体的にそんな本はないけど……)には敵いっこないからね。

でも、たま~に、どうでもいいモノを買わされてしまうことがある。それは、「画像」が載っているビジュアル本の類。運がいいと、サンプルでお目当ての画像が見えてしまい、なんだこの程度か、で終り。だけど、サンプルには載ってないけど、本を買えば載っている……ってケースだと、どんな風に描かれているのか、気になって仕方がない。で、つい買ってしまうと、たいていは、ありえない「非」イケメンぶり。むろん、それをもって、「この本は~」なんてレビューはしませんが。

どんなジャンルでも、古本屋さんでないと手に入らないような時代のものは優れている。昔の教養深い方々は普通に古文や漢文を嗜み、自ら書くことまでできた。だが、イマドキの童にはもう無理である。だから、イマドキの童にも分るように書かれている書籍はどうしても過去の水準には届かない。というよりも、届いてしまったら、イマドキの読者の半分には理解できない難解本となり、売れるはずもないので、当然中身は、ゆるく、まったり、視覚に訴える、文字数は少なく……と言う流れに。だから、何も今の人々が昔より劣っているとか、そういうことが言いたいわけではない。時代が変ったのである。

電子書籍にも、優れた物があるのは事実。ただし、昔のように定年退職記念にご自分の足跡を綴った「自分史」を出版し、数百万円かかった時代とは違い、嘘みたいな値段で電子書籍が出せてしまう現在。「自分史」は文章の上手い下手などに関係なく、一冊一冊が、その人の人生をあますところなく書き上げたという意味で、たいへんに貴重なもの。逆に言うと、作者様と無関係な人にとってはどなたのことか分らないわけで、完成したご本は販売するためではなく、ゆかりの人々に贈呈されることがほとんどであったろう。

しかし、最近の自費出版は違う。普通に金儲けのためだ。無論、作者の方は一生懸命に書いておられるので、その意味ではどれも貴重なものであることにかわりはない。ただし、紙媒体自分史と違って、誰にでも簡単に買えてしまうことが大問題なのである。漫画みたいなラノベ調小説なんかがそのまま商品に化けているようなケースがあるから注意しないと。あれらは、青少年向け。彼らは楽しんでいるんだからそれでいいのですが、ミルには理解不能なんだよね……。

でも、そういう本は見るからにそれと分るので、誤って買うことは少ないかも。表紙は漫画そのものだし、サンプルに目を通せばそういうものであることはすぐに分るので、買わなければいいだけ。ただ、時々、サンプルだけだと分りづらいものがある。というより、サンプルには目次しかなかったりする……。目次だけ見ると、それなりの水準のものに思われ、しかもレビューでは絶賛されている。だけど、絶対に騙されてはならない。そもそも電子書籍なんぞを楽しんでいる人は、青少年が多い。だから、レビューも彼らの意見であれば、本は間違いなくラノベ調だ。

ひどいことに、歴史書もそのノリになっていて、書いている人もいわゆるその辺の「オタク」。ん? まるで、このサイトのことではないか、ですと? まあ。本を出している人のほうが数千倍優秀だと言っておこう。でも「オタク」が書いたことを史実だと思われては困るんだよね。またしても、ここの最後の殿様にそのような趣味があって、大寧寺の変は痴情のもつれで云々……って、とある「本」に書いてあった……。

だからそれは違うんだよ。何度言ったら分かるんだか。馬鹿なの?
まあ、万歩譲って、それも一種の「推論」であったとしてもだよ、他にも政治とか経済とか外交とかそのた諸々の要素があるの。馬鹿の一つ覚えみたいにそれだけ強調すれば面白いかもしれないけど、それこそ、何も知らないで、「知識のない私でも理解できた」レベルの真っ新な人に、いきなりそんなことを吹き込んだら絶対に駄目だ。

とはいえ、世間一般の読者が求めているのは、そういう内容の本なのであって、書いている人は単に、そのような読者の需要に応えるように書いているだけ。どんなニーズにも合わせた文章が書ける、それこそ天才的だ。しかし、史実とゴシップネタは無関係なんですよ。読んでいてとても気持ちが悪い。

しかも最悪なことに、電子書籍は「処分できない」。紙媒体の小説なんかで、自分のイメージとはまるで違う人物造詣になっていたら、呪いの意味も込めて、ゴミ箱にぽいします(リサイクル回して再生させない)が、電子書籍は、「クラウドから削除」する必要があります。捨てたいくらい気にくわないのなら、削除したらいいと思うのですが、もしも万が一、もう一度その本を参照したくなるときが来た場合、「削除」されていたら、もう一度お金を払ってダウンロードする必要があります。気に入らない本に二度もお金を払うとか耐え難いため、何となく削除できません。

「クラウドから削除」せず、単に「端末から削除」すれば、その忌々しい本は消えますが、「つぎにダウンロードする時」のために、本の表紙は消えず、手元の端末にダウンロードされていないがゆえに、目につかないところに分類整理することもできません(端末によって違うかもなので、すべてがそうかは知りません)。仕方ないので、端末に「ゴミ箱」という分類をつくり、そこに移すことで対応しています。

本一冊読むのも(買うのも)たいへんに難しい世の中であります。

本の読み方

そもそも、本に読み方なんてあるのか? 甚だ疑問である。しかし、「読書法」「読書術」なるものは存在するらしく、それについての啓蒙書がそれこそ、大量に出ている。これらは紙媒体でも出版されているようだけれども、場所をとらない電子書籍で十分。また、アホらしくてそんなもの他人に教わる必要はないです、と言う人は適当にそこらの「読書術」サイトを検索しておしまい、でかまわないだろう。

どこも大差なく、メモをとれ、だったり、読書ノートをつけろ、だったり、もしくは、線を引けとか、あれやこれや、似たり寄ったりのことがサイトオーナーなりのアレンジで書いてあるだけなので、ご自身のフィーリングにあうところを見付けてタダで「学べる」。こんなアホらしいこと、他人に言われなくとも、すでに実行していることばかりだ、という方も多いだろう。

だけど「読書術」なんてこれまで考えたこともなかったミルはびっくりし、お金を払って何冊も「読書術」の本をダウンロードしたわけ。でも……メモをとれ、といわれて、読書が苦痛になり、線を引け、と言われて大切な本に汚い書き込みとか線を引くとか絶対にあり得ない! と頭にきて、結局本の読み方とやらは何の役にも立たなかった(本代が無駄となる)。

しかし、ある人の書いた読書法みたいなものが、妙に納得がいったので、それだけは実行しようと思い、せっせと真似して実行したが、ほとんど「苦行」に近く途中からやめてしまった。本に書いてあるとおりの「読書法」を実行できたら、本を読む度に賢くなって、その作者の先生のようになれるんだろうが、凡人には無理。だからこそ、作者の先生は天才で、書いたモノは売れ(作家先生)、お金も儲かるんだろうな、と思った。

※続く

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ミル@周防山口館

大内氏を愛してやまないミルが、ゆかりの地と当主さまたちの魅力をお届けします
【取得資格】全国通訳案内士、旅行業務取扱管理者
ともに観光庁が認定する国家試験で以下を証明
1.日本の文化、歴史について外国からのお客さまにご案内できる基礎知識と語学力
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