神社の「社号」 名は「格」を表す
古熊神社、山崎八幡宮、山口大神宮……。神社の名前には色々あるけれど。
これらの名前からじつは神社の分類ができてしまったりする。
たとえば、「古熊神社」の「古熊」は「社名」、「神社」は「社号」という。
そして、この「社号」を見れば、その神社の格式が分ってしまう。
大神宮、神宮、宮、大社、神社、社などがそれ。
マニュアル本によれば分類は以下の通り(参考文献は末尾)。
大神宮
後述
神宮
皇室と関係の深い神(天皇、皇室祖先神)を祀る、格式の高い神社
⇒赤間神宮
宮
皇室と関係の深い神(親王など)や人間神など特別な神を祀る
⇒防府天満宮
※「人間神」とは、怨霊を鎮めるためだったり、功績ある人を讃えるためだったりで特定のある人を神様としてお祀りしてしまう、ってもの。
防府天満宮はじめ、全国の天神様は菅原道真をお祀りしている神社だったね。
でも、この庭園で覚えておいて欲しいのは、新介様のお祖父様も「神様」になっている、という点です。これについては、別にテーマをたてるよ。
大社
戦前は出雲大社オンリー。戦後はほかにも○○大社が増えた
社
大きな神社から祭神を勧請した小規模な神社など
車塚妙見社……ちっちゃいんだ……
神社の「格式」について、詳しくは「04:神社の格式」を見てね。
伊勢神宮
固有名詞「神宮」
神宮は神宮でも、伊勢神宮だけは特別だ。伊勢神宮は正式な名前が「神宮」なので、この部分が「社号」ではない。ちなみに、「伊勢神宮」というのは「通称」となる。
「神宮」は全国八万もの神社を包括する「神社本庁」の「本宗」で、皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)からなる。内宮の祭神は天照大御神、外宮は豊受大御神。
内宮・外宮にはそれぞれ別宮、摂社、末社、所管社が……と、合計125もの宮社があるのだとか。
「大神宮」
皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)の総称を「大神宮」もしくは「伊勢大神宮」ともいう。伊勢神宮同様、天照大御神を祭神とする神社の中には、この「大神宮」を名乗る神社もあり、山口大神宮がまさにそれだ。
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山口大神宮(山口市滝)
永正十七年(1520)、朝廷公認のもと、大内義興が伊勢神宮を勧請した「高嶺大神宮」。現在は山口大神宮と呼ばれている。内宮、外宮、境内末社の稲荷神社から高嶺中腹にある岩戸社まで、まるっとすべてお参り。山口市内でご訪問回数最多の神社。
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天照大御神は皇室の祖先神にして、国家鎮護の最高の神様。
天皇以外の奉幣が禁じられた畏れ多い神様だったが、やがて庶民の間に「お伊勢参り」が流行するようになっていくよ。
神宮祭祀
伊勢神宮で執り行われる祭祀はたくさんある。神嘗祭、新嘗祭などは聞いたことがあるね。ほかにも、月次祭、大祓などなどがあるよ。
式年遷宮
御神体を新しい遷宮に遷す祭典のこと。690年に内宮、696年に外宮で行われたのが最初。以来20年に一度、実に1300年の長きに渡って受け継がれてきたというからすごい。
直近では平成25年に62回目の遷宮を行っているので、記憶がある人もいるかも。
遷宮ではすべての建物を造り替え、調度品なども新しいものに変わる。
勧請 分霊してもパワーは変わらず 神様は無限大
神社の話を読んでいると「勧請」というワードが頻出。なんなのかよく分らなかったけど、ここで明らかにしておくよ。
Wikipediaによれば、勧請とは「分霊を他の神社に移すこと」(Wikipedia、分霊)
他所の神社から祭神を勧請しても、元の神社の神様が影響を受けることはない。
移してもらったほうの神社を分祀、分社、今宮などと呼ぶが、移してきただけだから……といって元の神社より劣ることはなく、分霊も元の神社の神様と、なんら変わるところはない。
無限に分け与えられる上に、移した先でも同じパワーとは神々の力はすごい。
全国に同じような名前の神社が多数存在する理由はこの「勧請」だ。
山口大神宮は伊勢神宮から、古熊神社は北野天満宮から、宇佐八幡宮は宇佐神宮から……それぞれ勧請されている。
妙見様大好き大内氏の当主たちも、氷上山興隆寺から和泉や京の都に氏神様を勧請しているよ。その話はまた場をあらためるけど。
周防長門に勧請された神々
リライト中に見付けた神社から覚え書き。網羅してないよ。
多賀大社⇒多賀神社(山口大神宮内)
滋賀県
祭神:伊邪那岐大神、伊邪那美大神
通称「お多賀さん」
延命長寿
参照した書物:『カラー図解 イチから知りたい日本の神々と神社』
写真:フォトマルシェ(https://photomarche.net/)「伊勢神宮」
※20220918 タイトルとCATEGORY を変更しました。中身は元のままです。