
相変わらず史跡めぐりのリライト中だよ。
困ったことに、神社もさっぱりだが、寺院もダメである。
寺の入り口には門がある。

いくらなんでも知ってるよ。お寺の玄関、「山門」というやつ。え、山門にも種類がある? 仏像にも? ええと……。
分かっていないより、分かっていたほうが人生ちょっとだけ happy になる気がする。もともと立派な種本があるけど、ここの更新のたびに、いちいち開くのは面倒。作業効率化のため、同じ場所にまとめる。
ついでに、同じくさっぱりわからない人には、多少の学びになると思う。
山門色々
寺院の門=山門。一般的に誤りではない。寺院には山号というものがあって、○○山××寺、などと呼ばれるように「山」に建てられているから「山門」なのだ。
でも、禅宗ではこれを「三門」と言う。禅宗は寺院の本堂を「涅槃(ねはん:悟りの境地)」、そこに至るまでに通らねばならぬ門を「三解脱門」(空・無相・無作の三門)にたとえているのだ。「三門」はこの「三解脱門」の略。浄土宗寺院にも見られる呼び方。
左右から金剛力士像がにらみを利かせているものを「仁王門」、天皇など高貴な人専用の「勅使門」などの種類、用途別の呼び名もある。
そして、建築様式によっても分類される。四本脚のように柱が立つ「四脚門」、二階建ての「二重門」「楼門」、屋根に唐破風がある「唐門」など。
それが立っている位置によっては、表門・裏門・正門・通用門・総門・大門・脇門・中門・小門・東門・西門・南大門・北大門などと分類されることも。

もうメンドーだから、全部「門」でいいじゃないの!!
初心者には不要と思われるものも含めて、名前だけ羅列しておくよ。説明はそのうち、現物を見た時に思い出せばいいや。
鐘楼門 階上には銅鐘をつるしてあり、階下は通行するための門になっている。
冠木門 冠木(笠木)とよぶ横木を、2本の円柱の上方につらぬきわたしてある門。屋根はない。
仁王門 一対の阿吽形の金剛力士(仁王)像を安置する門。
まずは、ざくっと門のつくりついてだけど。
【平面・立面からみた門の分類】 門の正面の柱間が一つの場合は一間、三つの場合は三間という。その柱間に扉がついて通行できる出入口にな っていることを戸といい、一戸・三戸などという。扉のあるなしにかかわらず、扉をささえる柱と柱を結ぶ線を扉筋といい、扉筋にある柱を本柱(親柱、主柱)といい、本柱の前後の補強用として立つ柱を控柱という。この控柱の数によって四脚門・八脚門の分類が行われる。
『新版 歴史散歩辞典』

読んでも分からない。こういうの、図表ないとダメだ……
八脚門 控柱が本柱の前後に各4本、計8本ある門。本柱は4本で柱間3間。一般に出入口は中央1間なので三間一戸。
楼門・二重門 どちらも2階建だが、楼門は下層に屋根 がなく、間には高欄つきの回縁がある。二重門は上重・下重ともに屋根がついた二重屋根門。
三門・山門 五間三戸二重門。楼上に釈迦・十六羅漢像をおくのがふつう。
唐門 唐破風造(合掌部が丸くそった山形をなす曲線状の破風)の門。
棟門 2本の本柱の上に切妻屋根をのせた門。本柱上部に冠木をわたし、梁でとめてある。梁に板蟇股をのせて棟木をうけ、梁の端に桁をわたして切妻屋根をのせる。柱は本柱2本だけ。
建物色々
仏教発祥の地はインド。中国、朝鮮を経て日本に伝えられたと習ったはず。
そして、お寺の起源はそのインドで、僧侶たちが仏法を学び、瞑想をする場所だった「精舎」だとか。祇園精舎の鐘の声のあの精舎ではないか!
釈迦の死後、その遺骨(仏舎利)を納めるストゥーパが建てられ、やがて仏像が作られるようになると、それを納めるためのお堂ができた。日本に伝わった時には、すでに仏像ありきであった。
仏像は南向きに安置され、南から北へ向かって、塔、金堂が回廊で囲まれている、という基本構造になっている。南北朝時代の中国の構造がそのまま輸入された。
もっとも大切で中心となるのは、本尊が安置された「金堂」だけど、堂の中が金ぴかなのでこう呼ばれるよ。一般に「本堂」って呼んでいる人が多いような? 呼び名は宗派によって微妙に違っているのだ。仏堂と呼ぶこともあるね。
金堂のほかには、説法を行ったり、法会を開くための「講堂」(禅宗では法堂)やお坊さんたちが生活するためのスペースなどもあるよ。これらも時代や宗派によって変わる。
本堂の呼び名について
飛鳥・白鳳・奈良時代にすでに「金堂」の呼び名が使われていた。
平安時代には「中堂」と呼ぶ例も現れ、鎌倉時代、浄土宗・浄土真宗・日蓮宗においては「本堂」の名に統一された。禅宗では「仏殿」という。
金堂(本堂、仏殿) 本像を安置する建物。
講堂 説教、経典の講義をする場所。禅宗では法堂。
鐘楼 鐘をつるす建物。
鼓楼 鐘のかわりに太鼓をおいた場合の建物。
庫裏 寺院の台所。現在は住職の家族の住まいを指す。
方丈 禅寺での住職の生活空間。
僧堂 禅僧の座禅道場(禅堂)
経蔵 寺所蔵の経典を納める場所。鎌倉時代・禅宗様式だと、内部に六角形の輪蔵(回転文庫)をもっていた。
食堂 食事をとる場所、斎堂(禅宗)
塔頭 子院、脇寺、本寺の敷地内にある小院。

門や建物の名前は時代や宗派によって様々みたいで、調べ始めたらブラックホール。キリがないので中途で妥協してる。もちろん、自分ではさっぱりなので、本を見て書いてるけど、絶対ではないからね。ぶっちゃけ「寺によって違う」でいいと思う。行った先の立て看板が教科書だよ。
つぎの三つは、似たような意味で呼び方が違うだけみたい。
祖師堂 祖師とは宗派の開祖のこと。その像を安置する堂。
御影堂 祖師などの御影(画像、彫像など)を安置する堂。
ex:真言宗⇒弘法大師像、浄土真宗⇒親鸞上人像を安置する室(大師堂ともよぶ)。
以下は置いてある仏像の名前によって区別される堂。
釈迦堂 釈迦如来像を安置する。
阿弥陀堂 阿弥陀如来像を安置する。
太子堂 聖徳太子像を安置する。
開山堂 一寺の開山・開祖の像を安置する。
観音堂 観音菩薩像を安置する。
不動堂 不動明王像を安置する。
文殊堂 文殊菩薩像を安置する。
読経や儀式に関連する建物。
戒壇堂 授戒を行う壇のある堂。
法華堂 天台宗で普賢菩薩像を本尊とし、法華経を読経する堂。
常行堂 天台宗で阿弥陀如来を本尊とし、念仏をとなえながら堂内を歩く行をするところ。
灌頂堂 頭に水をそそいで授戒の儀式をする堂。
参考
宗派別本尊
浄土宗、浄土真宗 阿弥陀如来
真言宗 大日如来、不動明王
日蓮宗 釈迦如来、大曼荼羅
曹洞宗、臨済宗 釈迦如来
天台宗 釈迦如来
『日本の仏さまとお寺』
塔色々
観光客が大喜びなのは、やはりこの「塔」。元々仏舎利、つまり釈迦の骨を納めたインドのストゥーパが起源。日本の塔に骨は入っていませんが。
瑠璃光寺の五重塔はじめ、五重塔、三重塔、多宝塔が主流。でも、七重塔などもあったそうだよ。
木造の塔は時を経て変色し、だんだん黒くなっていく。宮島の多宝塔のように、朱色で塗られていると変色しないから、いつまでも輝いている。どちらもそれぞれいいね。
五重塔
多宝塔
仏像色々
なんと仏像にもそのポーズによって、あれやこれやの分類がある。
目茶苦茶ざっくりと言えば、以下の通り。
参考
立像 立っている
坐像 座っている
臥像 横になっている
これらそれぞれに、さらに立ち方、足の組み方などによって細かい分類があるよ。
参照した書物:『新版 歴史散歩辞典』『日本の仏さまとお寺』
※20220918タイトルとCATEGORYを変更しました。中身は同じです。