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神社の構造基本編 & 楼拝殿造りについて

2020年10月25日

サイトキャラクター・ミルイメージ画像

今更だと思うんだけど、超初級の「一般観光客」であるミルたち自身のために、神社の基礎知識をまとめました。今回は基本中の基本である、神社の構造と主な建物についてと、県内の神社を見るとき、避けては通れない「楼拝殿造り」について、書いています。神社に詳しい方々はとっては、すでにご存じのことしか書いていません。

神社の構造

まずは、神社の建物の構図というか、配置の話です。これは、個々の神社によって多少名前が違うものもあるのだけど、基本の「き」は、だいたいこんな感じになってる。

 鳥居をくぐる ⇒ 参道を通って拝殿に向かう ⇒ お参りをする

鳥居

鳥居は簡単に言えば、神社の玄関みたいなもの。ここから先は、神聖な神社の領域ですよ、というマークですね。
宗教学的な意義とか、どうしてあんな形なのかなどについては、今のところは触れません(たとえば、鳥居の形にも色々あるんだけど、混乱するから気にしない)。
神社の規模や格によって、鳥居の数は違うみたい。一つだけのところもあるけれど、一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居……とあるケースも。この、一、二、三の順番振り分けも、必ずしも本殿に近いところから一の鳥居、というわけではないようです。個々に確認しないといけませんね。

参道

鳥居をくぐると、本殿まで参道が続きます。参道は神様の通り道でもあるので、鳥居をくぐった瞬間から姿勢を正して、お参りスタイルに変身する必要があります(ついつい忘れがちですが)。また、参道のど真ん中は神様が通るところなので、参拝客は脇を進むのがルール、というか、通ってはいけないのです。

鳥居の内側には、手を清めるところがあります。手水舎といいますが、神社によって名称が違うことも。いずれにせよ、ここできちんと手を清めてから内部に進んでいくのがマナー。きゃっきゃ言ってスマホで写真撮ってるだけの人には問題があります。

畠山義豊イメージ画像
次郎

そうなの? 平然とど真ん中を通って、カシャカシャしてたぜ。

於児丸不機嫌イメージ画像
於児丸

つぎからは改めろ。場合によっては、注意されてしまうぞ。

参道の両端には、灯篭なんかが立っています。灯篭はよく見るとだれそれ「奉納」とか「寄贈」になっていますね。大量に灯篭があるところは、信仰する人が多い人気の神社かな? 鳥居みたいな大きなものまで寄贈されているね。

本殿に着くまでのあいだに、使い古したお守りやお札をお返しするところ(古札納所などと呼ぶ)や、事務所にあたる「社務所」が。ほかに「神楽殿」だとか、神社によって特別な建物もあるでしょう。

拝殿

鳥居をくぐり、参道を進むと、行きつく先が拝殿です。「賽銭箱」が置いてあって、「鈴」がぶら下がってるのがそれです。「狛犬」などが配置されていることも。

本殿

拝殿の後ろにあるのが本殿。神社の中で最も大切なのはここです。本殿には「ご神体」が安置されており、このご神体というものは、神社の関係者も含めて、非公開。目に触れるものではないため、奥深く隠されているのです。
よって、大切ではあっても一般の参詣客には、関係がないのが本殿なんです。お参りは拝殿で完了し、本殿に入ることはできないものね。だから、拝殿では、きちんと賽銭を投げ込み、鈴を鳴らして存在をアピールし、でもって、願い事をすませましょう。
ちなみに、御祈祷などを行う場合は、神社の人にあらかじめ連絡をして予約をしてください。最近は、寺社様もホームページ完備だったりするので、お問い合わせ方法も色々ありますよ。
拝殿が本殿よりも目立っていたり、立派だったりするのは、そっちが、皆がお参りする場所だからだったのですね。でも本殿も、重要文化財なんかになっていたりしますので、建物だけはきちんと見ておきたいものです。

境内神社

神社の中にまた神社がある~と、とある観光客たちが謎めいて喚いていたのが、これです。何も驚くことではなくして、「普通」のことです。その神社に関係のある神社を配置してある場合(摂社)、直接には関係ないけども、元々、地元で崇拝されていたほかの神社を配置してある場合(末社)があります。たいてい、どこかしら(それこそ立て看板など)に、境内神社の由来が書いてあると思うので、きちんと確認すれば、この小さな社なんなのーー!? とはならないはずです。
例えば、もともとそこに小さな神社があって、地元の方々に崇拝されていた、なんて所に、あとからその「土地」に別の大きな神社が建てられた場合、その小さな神社は末社として、大きな神社に間借りして存在し続けている場合があります。

日本の神様は、分霊を勧請することも、合祀することも可能ですから、いくつかの小さな神社が一つにまとめられて大きな神社の境内神社となっているケースも少なくありません。なかにはすさまじい数の神社を合祀した結果、ご祭神が大量にいらっしゃる神社もあります。

楼拝殿造とは?

この写真は、今八幡宮の楼門です。今八幡宮では、楼門 ⇒ 拝殿 ⇒ 本殿はひとつながりになっていて、連結しています。初心者の知識ですと、本殿は神様がおいでになるところ、拝殿は参拝者がお参りするところ、となります。となると、こちらの神社では、楼門でお参りしてお賽銭を入れているようなことになって、こっちが拝殿じゃないのかな? と思います。そもそも、「楼門」という以上は、門なのですから、通り抜けができなければなりません。この楼門と背後の拝殿との連結部分を見る限り、通り抜けができそうではありました。しかし、楼門内は建物内部のようなことになって、土足のままでは通れそうにありません。

じつはこれ、「楼拝殿」とか「楼拝造」、「楼拝殿造」などと呼ばれるものです。山口地方独特のとか、大内氏時代の特色とか説明が書かれているはずです。そもそも、「楼拝殿造」とは何ぞや? 今八幡宮や古熊神社等々、この造りになっている有名な神社はとても多いです。なので、当たり前すぎて、これまであまり意識していませんでした。楼門 ⇒ 拝殿 ⇒ 本殿が縦に一直線に並んでいることだろう、のように適当に考えていました(これらが、くっついているとか、連結している、と説明している案内看板多いですしね)。

ですがコレ、拝殿の上に楼門が乗っかっている、というのが正しい。建築学、歴史学、考古学、民俗学とか的には違うかもだけど。ガイドさんの解説を拝聴して生まれて初めて理解した気がしました。あくまでイメージですが。

普通に「楼門」と呼ばれる建物は、つぎのような感じであるはずです。

住吉神社・楼門

ちょっとわかりづらい写真ですけど、住吉神社の楼門です。ちゃんと門になっていて、通り抜け可能ですよね? ここでお参りすることはできません。拝殿は門を抜けた後ろにあるからです。

では、今八幡宮や古熊神社ではどうなっているかといえば、楼門の下はお参りするスペースになっているため、潜り抜けることはできません。楼門と拝殿はドッキングしてしまい、楼門にして拝殿である、という一つの建物になってしまっているわけです。

しかししかし、ここでもまた問題が。神社によってどんな建物があるかは異なるので、楼門、拝殿、本殿と三つの建物がそろっている神社ばかりではないことは知っています。でも、今八幡宮の場合、楼門と拝殿は一つで二つの役割を兼ねているのですから、楼門兼拝殿と本殿、二つでいいんじゃないのかな、と。楼門兼拝殿、拝殿、本殿だと、拝殿が二つもあることになるんじゃないか、と思ってしまいます。ちなみに、古熊神社ではこの二つの役割を果たす社殿を楼門ではなく、拝殿としています。深く考えると混乱しますが、「楼拝殿造」では、楼門と拝殿が一つになっている、楼門が上に乗っかっている、と適当に理解したら心安らかでいられます。

参照文献:山口県様HP、山口市様HP、文化庁様HP、『カラー図解 イチから知りたい日本の神々と神社』

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ミル@周防山口館

大内氏を愛してやまないミルが、ゆかりの地と当主さまたちの魅力をお届けします

【取得資格】
全国通訳案内士、旅行業務取扱管理者
ともに観光庁が認定する国家試験で以下を証明
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