山口県山口市の出雲神社とは?
出雲神社は、山口市徳地にある周防国二の宮です。一の宮・玉祖神社についで、周防国で二番目に格式が高い神社です。二の宮に指定されている理由としては、その由緒が古いこと(元正天皇の時代、715年)があげられます。また、大内義興が九州平定のために戦勝祈願を行なったとされる「五社詣」で二番目に参詣したことも、二の宮としての位置づけを表わす由縁です。境内には、ツルマンリョウ、大杉という二種類の天然記念物があることで有名です。
出雲神社・基本情報
ご鎮座地 〒747-0231 山口県山口市徳地堀 3572 番地
主祭神 大己貴命、事代主命
主な祭典 元旦祭、節分祭、春祭、大祓(六月三十日小晦日)、夏祭、秋祭、新嘗祭(十一月二十三日)、大祓(十二月三十一日大晦日)
社殿 本殿、弊殿、拝殿、向拝
境内神社 宇佐八幡宮(応神天皇・神功皇后) 、若宮八幡宮 (誉田天皇・仁徳天皇)
社宝 大内義隆寄進状、毛利輝元禁制札、毛利宗廣社殿奉建棟札ほか
最寄り駅 山口駅から 20㎞、防府駅から 16㎞、徳地インターから 4㎞
(参照:『山口県神社誌』、由緒看板)
出雲神社・歴史
たいへん長い歴史を持っている神社。起源がとても古いということは確かだが、古すぎて、正確な史実はわからない。由緒説明看板によれば、「大古出雲種族の佐波川流域への膨張発展に伴い、その祖神を鎮祭したものと考えられ」、 「鎮座は元正天皇の霊亀元年(715)と伝えられ」ている。
聖武天皇の天平九年(737) に、周防国二の宮として勅許を受けた。文字史料として確認できるものとしては、奈良時代の周防国正税帳に、 神戸・神田の奉納の記述が、また、平安時代初期の延喜式神名帳(927)に、周防国内十社の中に、出雲神社二座として記載がある。つまり、奈良時代、平安時代の時点で、格式ある神社としてすでに存在していたことは確実で、朝廷や摂政・藤原氏等にも崇敬されていたと思われる。
中世以降になると、大内氏や毛利氏等歴代の領主、藩主の祈願所として崇拝された。享禄二年(1529)、大内義隆が神馬を寄進。永禄十年(1567)には、毛利輝元が禁制札を掲げた。ほかにも、修築、祭祀、祈禱などに関する文書が多数残されており、藩政時代にも手厚く保護を受けていたことがわかる。大内義隆寄進状、毛利輝元禁制札、毛利宗廣社殿奉建棟札は神社の「社宝」となっている。ほかにも室町時代以降の古文書類が数百点もある。
縁結び、開運、農耕、商工業、医薬などのご利益があり、時の権力者のみならず、徳地地方の総氏神として今に至るまで地元の人々に深く崇敬されている。(参照:由緒説明看板、『山口県神社誌』)
出雲神社・みどころ
目にすることができる建造物としての指定文化財はない。しかし、出雲神社社叢は「ツルマンリョウ自生地」として国指定の天然記念物に、御神木・大杉は山口市指定の天然記念物となっている。
なお、奉納芸能として行なわれる「人形浄瑠璃」が山口県指定文化財となっているほか、古式ゆかしい多くの特殊神事がある。(参照:『山口県神社誌』、由緒看板)
鳥居
『山口県神社誌』によれば、なんと、鳥居は五基もあるという(本が書かれた当時のことなので、現在どうなっているかは未確認です)。Googlemap には一之鳥居と二之鳥居が載っています。
長い参道の入り口にあった鳥居。Googlemap で確認したところ、これが一之鳥居である模様。この右手に「御旅所」があるはずだが見落とした。
参道
鳥居からはとても長い参道が続いています。
浄水舎
参拝前に手を清める場所は神社によって名前が違うこともある。手水舎ということが多いけれども、出雲神社では「浄水舎」。手水舎との違いはわかりません。
参詣所
参詣所の前で火を燃やしている状況に、ガイドさんとタクシーの運転手さんともどもびっくり。山口市街地にある寺社ではなかなか見られないことですが、ちょっと奥まったところでは何度も見かけた光景です。
写真からはわかりづらいですが、この右手に「寿老碑」という碑があって、チラリと見えています。
神饌所
神饌(みけ)とは神様に差し上げる食事のことで、その支度をする場所を神饌所といいます。
本殿 & 拝殿
拝殿は寛延三年(1750)、毛利宗廣によって再建されたものである。建築様式は流造り、向拝付き。
本殿を脇からみたところ。
若宮八幡宮
出雲神社境内にある末社。ご祭神は誉田天皇と仁徳天皇。
宇佐八幡宮
同じく末社。ご祭神は応神天皇と神功皇后。
末社にはこのほかにも境外末社として二十数社もの神社があるという。
二の宮の大杉
山口市指定の天然記念物。根元の周囲12.5メートル、高さは43メートルもある。とても古いが、幹の中に空洞はなく、今も元気に伸びている。出雲神社の御神木。(参照:説明看板)
出雲神社ツルマンリョウ自生地
国指定の天然記念物である。
出雲神社々叢の南斜面にあり、欝蒼たる常緑広葉樹林の下、数ヶ所に小郡落をなして自生している。ツルマンリヨウは台湾、屋久島に産するが、本土には、極めて稀に見るものであり、自生の北限に属するものとして貴重である。
出典:国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/401/2428
しかし、残念ながら、具体的にどれがツルマンリョウなのか、見付けられなかった。「社殿の西にある小高い丘の北側急斜面に数か所」「小群落」があると、神社説明看板に書かれている。つまり、看板の背後にあるわけではなく(あるかもしれないが)、丘の急斜面を探さねばならなかったものと思われる。
ツルマンリョウの写真は、国指定文化財等データベース(文化庁)から、ご覧ください。
出雲神社(山口市徳地)の所在地・行き方について
ご鎮座地 & MAP
ご鎮座地 〒747-0231 山口市徳地堀 3572 番地
佐波川沿い国道376号が県道24号防府徳地線と交わる付近。
アクセス
由緒看板に「山口駅から 20㎞、防府駅から 16㎞、徳地インターから 4㎞」とあることからわかる通り、「最寄り駅」から歩くことは困難です。
山口駅からタクシー利用。むろん、自家用車、レンタカー可。
参照文献:山口県神社庁様『山口県神社誌』、由緒案内看板、天然記念物案内看板、国指定文化財等データベース(文化庁)
出雲神社(山口市徳地)について:まとめ & 感想
出雲神社(山口市徳地)・まとめ
- 山口県山口市徳地に鎮座する「周防国二の宮」
- 大己貴命と事代主命を祀る
- 元正天皇の霊亀元年(715)創建とされるが、古すぎてはっきりしない
- 古くは朝廷、やがてはこの地を治めた大内、毛利氏などに崇拝された
- 山口市指定の大杉、国指定のツルマンリョウと二種類の天然記念物がある
佐波川沿い出雲神社付近にはほかにもいくつもの神社があり、重源ゆかりの遺跡などもあるため、とにかくたくさんの神社を回りたい方、重源の郷に行ってみたい方、などはついでにまとめて回ることができます。しかし、地図上に見えていても徒歩ではたいへんな距離なので、あきらめてタクシーかレンタカーを使うしかないです。
正直、山口駅よりも防府駅のほうが近いので、川沿いに下りてきたら宇佐八幡宮や防府天満宮あるではないか! と思いますけれど、そこに至るまではあまり観光スポットはないですし、そもそも16キロメートル離れています。
周防五社をすべて回りたいと思ったので参拝しましたが、ここだけのために来るのはあまりにもったいないです。徳地にはほかにもみどころがたくさんあります。事前に地図で確認し、ほかにも行きたい場所を調べてリストアップしてから、タクシー貸し切りでお任せすることを強くおすすめします。
こんな方におすすめ
- 神社巡りが好きで五社詣でを極めたい方
- 植物観察が好きな方(天然記念物のツルマンリョウ自生地です)
オススメ度
さすが二の宮さま。奥ゆかしい……。けれども市内から歩いて行けない(要交通費)のが残念。
(オススメ度の基準についてはコチラをご覧くださいませ)
親切なタクシーの運転手さんにお任せ、なんでもご存じのベテランガイドさんのご案内付きであれこれ回ったらとっても楽しかったよ。さすがのミルも歩けない距離だったから、かえってラッキーだった♪
その通りでした。しかも、お支払い金額も、とってもお得にしてくださいました。御恩は一生忘れません。けれども、もう一度来ることは難しいかと。貧乏旅でタクシー貸し切りできる回数は限られているので。
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五郎とミルの部屋
大内氏を紹介するサイト「周防山口館」で一番の人気キャラ(本人談)五郎とその世話係・ミルが、山口市内と広島県の大内氏ゆかりの場所を回った旅日記集大成。要するに、それぞれの関連記事へのリンク集、つまりは目次ページです。
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