みやじま・えりゅしおん

あせび歩道(広島県廿日市市宮島町)

2024-10-03

あせび歩道・案内看板

広島県廿日市市宮島町のあせび歩道とは?

宮島にある自然歩道のひとつで、大聖院から大元公園までを結ぶ途中の道を呼びます。名前の由来は、植物の「あせび」が多いこと。

宮島には自然豊かな散策路が数多くあり、地元の方々によって、素敵な名前が冠されていることも特徴です。どの道もそれぞれにみどころがいっぱいです。あせび歩道のメインは多宝塔になろうかと思われますが、途中には五重塔を望める絶景スポットもあり、ぜひおすすめしたい散策路のひとつです。

あせび歩道・基本情報

所在地 広島県廿日市市宮島町(※道なので、住所は特定できません)
大聖院から大元公園までを結ぶ散策路
だいたい 700 メートルあります(参照:『宮島本』)

あせび歩道・概観

あせび歩道・位置図

今回ご案内するのはだいたい緑枠の部分となります(五重塔に上がる道の看板をお借りしています)。

宮島の自然歩道

宮島にはたくさんの自然散策路があり、それぞれに名前がついています。もみじ歩道、包ヶ浦自然歩道、うぐいす歩道、山辺の古径などがそれです。正直なところ、どの道がどこを通っていて、何をテーマにしているのかというのは、分かりづらいです。

例えば、ドイツのロマンチック街道、古城街道、メルヘン街道、ゲーテ街道のようなものを想像するとちょっと違います。これらは皆、それぞれにテーマが決まっていて、観光客は自らが楽しみたいテーマに近い道を選んで観光すれば、最も満足度が高くなります。まあ、そこは、ひとつの国全体と一国内の島ひとつとを比較することは不可能ですので、そこまで追求するのは酷でしょう。

しかし、同じところもあります。ドイツの観光街道は、観光客誘致のために敢えて新しい道路を作って強引に繋げるなどということはしていません。あくまでも、昔から続く道をテーマに沿って回れるよう知恵を絞ってルートの提示をしただけです。宮島の自然散策路もそこは同じで、元からある道に名前をつけただけのものです。何でも観光産業化して、手を加えすぎた挙げ句、世界遺産選定からも漏れる(過度に手を加えると NG とされています。自然遺産などは特に。金儲けのためにあれこれ整備したりして、元々の姿が失われた場合などです)というようなことをせず、元々の景観を大切にした観光業の発展に務めています。

それぞれの道の観光テーマの問題ですが、これについては、詳細はわかりません。厳密には、それぞれの道ごとにテーマはあるのだろうと思うのですが、カバーする範囲がどれだけ頑張っても宮島一島だけとなりますから、せいぜい回る道順が違う程度になるのかな、と考えてしまいます。植生などもそう大きな差異はないと思われますし……。これから先は、それぞれの道独特のテーマの問題も考えつつ、一つ一つの自然歩道を回るようにしたいと思います。

あせび歩道の特徴

大聖院から大元公園を結ぶ道です。……といっても、大聖院から大元公園に行く行き方も、それこそ何通りもあると思われ、そのうちの一つというのが正しいです。あせび歩道を通らなければ、大聖院から大元公園まで行けないという意味ではありません。そもそも、観光の順番も人それぞれですので、必ずしも同じ日に大聖院から大元公園まで行かなくてはならないわけでもないでしょう。

『宮島本』の古い版には、あせび歩道のことを、「大聖院あたりから宮島ロッジに至る約700メートルの歩道」とあるのですが、第三版では自然歩道紹介のページがなくなっています。Googlemap で調べましたが、宮島ロッジは見付けられませんでした。かわりに、宮島にあるロッジという意味で、○○ロッジが大量にヒットしてたいへんなことになります。文脈からいって、宮島ロッジは固有名詞ではないかと思うのですが、探せませんでした。起点についても、「大聖院あたり」となっており、正確にはどこ? と神経質になりすぎると気になってしまうのですが、およそ大聖院から大元公園に至る道と考えてよいと思います。

具体的には、道なりに行った場合、以下のようなコースとなります。

厳島神社宝物館脇(あせび歩道に上がる階段がある)⇒ 多宝塔がある丘 ⇒ 大元公園(途中展望台あり)

「あせび」歩道という名前の由来ですが、多宝塔がある丘にアセビがたくさんあることから名付けられたようです。

そもそも「あせび」って?

アセビは宮島じゅうにある感じです。特に多宝塔付近に多いというイメージではありません。……植物に関心はないので、あまり気にせず歩いていますので、あてにはなりませんが。しかし、あせび歩道に限らず、宮島に行ったら、アセビについての説明は必ずどこかで耳にすることがあると思います。宮島=もみじですけど、隠れた著名植物かもしれません。

あせび歩道・アセビ

こんな感じのやつです。下は色違い。

あせび歩道・アセビ(ピンク)

ネット検索でチラ見した程度ですが、色は基本は白ですが、赤もあるようです。下のはどう見ても赤というよりピンクですので、光の加減などで、ちょっと色づいて見えているだけかもしれません。ちなみに、これらのアセビはいずれも、要害山にあったもので、多宝塔とは無関係です。多宝塔行くと感激のあまり、周囲の植物なんてぶっ飛んでいますから……。

何の変哲もない樹木に見えますが、この木の最大の特徴は、鹿が苦手な植物である、という点です。そこらじゅうの植物を食べてしまうことができるらしき鹿ですが、この木だけはダメなようです。都会の道端に生えていたところで、何ら問題にはなりませんが、鹿が大量にいる宮島で、彼らが苦手とする食物が植生しているというのは、鹿にとっては大問題です。

いちおうは有害物質が含まれているということで、鹿に害を与えているので、まさかおいでにならないと思いますが、何かの実を見かけたら食べてみる、という癖のある方はやめておきましょう。ちなみに、鹿たちはこの木を避けて食べようとしないことから、食べた結果酷い目に遭う、という悲劇は起こらないようです。本能的にわかるのでしょうね。

あせび歩道・みどころ

最大の観光資源は多宝塔です。宮島に来て多宝塔を見ないでお帰りになる方もおられないと思うので、つまりはかなりの確率であせび歩道を知らぬ間に通っていることになります。起点の大聖院、終点の大元公園も外せない場所です。なお、この道を行かなければ絶対に見つけれない最高の展望台がありますので、見落としのないように。

あせび歩道入口

あせび歩道・入口

正面左手に見えているのが、厳島神社宝物館です。同じ通りの隣の建物脇に、あせび歩道に上がっていく階段があります。

階段

あせび歩道・階段

かなりの段数ある上、やや急です。本当にコレでいいの!? という方のために、ちゃんと案内プレートがございます。

あせび歩道・プレート

ただしこのプレートは、ご覧のように階段の上がり口奥まったところについており、何段か階段を上がってみないと気付かない場所であるため、入り口を見落とさないようにしなければなりません。

多宝塔

厳島神社多宝塔

多宝塔までは、階段に導かれて上って行けばいいだけです。

多宝塔についての詳細は、以下の記事に書きました。

厳島神社御文庫と五重塔
「厳島神社○○」となっている建築物

五重塔も多宝塔も、じつは「厳島神社五重塔」だった?「厳島神社○○」となっている建築物まとめ

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勝山城跡

あせび歩道・勝山城跡

なお、多宝塔の丘には、凌雲寺さま(義興公)が建てた勝山のお館跡地の石碑もありますので、見落とさないようにしてください。ちょっと探しにくいですが、下の記事で行き方をバッチリご案内しております。

勝山城跡(広島県廿日市市宮島町)の歴史、観光情報、所在地、アクセス
勝山城跡(広島県廿日市市宮島町)の歴史、観光情報、所在地、アクセス

大内義興が厳島に建てた仮の館であったと考えられている。歴史史料にはたびたび登場するものの、現在に伝わる遺構は何一つなく、「跡地」に城跡碑がた ...

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あせび歩道① 多宝塔から大聖院

※次回探索予定

分岐点・大聖院

あせび歩道・大聖院へ順路石碑

あせび歩道が、大聖院の辺りから大元公園を結ぶ道だとするならば、上がってきた階段を下りてしまったら宝物館の脇に戻るだけなので意味がありません。実は、階段を上がらずとも多宝塔に行ける道はございまして、これはそちらの道から上がった際の、大聖院と多宝塔の分岐点に置かれた目印の石碑です。

この道もあせび歩道なのかどうかが今以て分からず。大聖院に行くにはわざわざこのような山道を通らずとも行けますので、この先はまだ未見なのです。次回の宿題とさせてください。

大聖院・入口
大聖院(廿日市市宮島町)

宮島で最も格式の高い寺院。神仏習合の時代、厳島神社の別当寺をつとめていた。多くのみどころがあり、神聖かつ荘厳な寺院。いい加減な気持ちで、観光資源として見学することは許されない。公式 HP を参考に、拝観の仕方などにも留意する必要がある。

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あせび歩道② 多宝塔から大元公園

あせび歩道・多宝塔から大元公園へ

多宝塔とお別れして、先へ進みます。ちょっと小さくて見にくいですが、写真右手のほうに看板があるのが、ご覧いただけるでしょうか。「あせび歩道」と書かれた看板です。大きいものはアイキャッチに入っています。

あせび歩道「展望台」

あせび歩道・展望台

あせび歩道から大元公園に至る道の途中にちょっと張り出した部分がございます。ごらんのように柵をつけてくださってあり、ちょっとした展望スペースになっております。なんだよ、小さくなった多宝塔が見えるだけではないか、と思った方、とんでもありません。ここは、五重塔、千畳閣、大鳥居、厳島神社社殿を見ることができる、超おすすめ撮影スポットなんです。上の一枚は、そのようなスペースがある、ということをお伝えするために撮影したにすぎません。皆さん身を乗り出して最高の一枚を目指しますから、柵なんて画面に入るはずはないです。

あせび歩道・展望台4

この展望台ですが、振り返れば何と、このような雅な四阿までございます。道なりに導かれてしまいますので、実は見落とす方はいなかったりします。上の写真だけ見ると心配になりますけどね。

あせび歩道・展望台3

五重塔と千畳閣

あせび歩道・展望台2

大鳥居

順路看板

あせび歩道・順路看板

だいたいにおいて、このような山道が続いております。きちんと整備されており、特に問題はありません。ただし、油断は禁物ですので、訪問日数日内の天候などには注意したほうがよいです。

階段かスロープか・分岐

あせび歩道・分岐

ここ、いつも間違えてしまうのですが、結論から言うと、どの道を選んでも正解です。必ず大元公園につけます。なので、心配は要らないといえばいらないのですが、どちらかの道を選ぶとすさまじい段数の階段があります。右左、メモしておかないと無理のようです。次回要確認。

長い長い階段

あせび歩道・長い長い階段

目眩を覚えそうな長い階段です。こちらを下りると国民宿舎のところに出ることができます。じつは、大元公園に直接入るには、この階段の道のほうが分りやすい上に、やや近い雰囲気でして、階段は嫌だけどこちらがいい。といつも思いつつ、上の分岐点で必ず間違います。

ご高齢で足腰に不安がある方、階段は嫌いな方には、当然のことながら、階段ではないほうの道をおすすめしなくてはなりません。ここまで来てしまってから、あ、間違えた……と戻ることも可能なのですが、かなり戻らねばならず、やはり分岐点で確定すべきです。

終点・大元公園

大元公園案内看板

無事に大元公園に出ることができれば、あせび歩道の散策は終了です。

大元公園案内看板
大元公園

宮島の西端に位置する都市公園。大元神社、国民宿舎「杜の宿」、厳島合戦関連史跡「大元浦」「血仏」などがある。桜の名所として有名。

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あせび歩道(廿日市市宮島町)の所在地・行き方について

所在地 & MAP 

所在地 廿日市市宮島町
※道ですので、住所はありません。

アクセス

厳島神社宝物館のある通りに、多宝塔に続く階段の登り口があります。登り口の手前に看板などはないため、やや見付けにくいですが、階段を数歩上ったところに「あせび歩道」というプレートがあります。あせび歩道は大聖院から大元公園を結ぶ道ですので、そのまま多宝塔に上がっていき、多宝塔見学後に大元公園もしくは大聖院に向かいます。端から端までを道なりに楽しみたい方は、大聖院もしくは大元公園からスタートすることになります。

参考文献:『宮島本』

あせび歩道(廿日市市宮島町)について:まとめ & 感想

あせび歩道(廿日市市宮島町)・まとめ

  1. 大聖院から大元公園までを結ぶ自然歩道のこと
  2. 最も分かりやすい行き方は、厳島神社宝物館の通りにある「あせび歩道」と書かれた階段から多宝塔に向かう道。ただし、かなりの階段を上らねばならず、また、道の起点ではないため、端から端までは行けない
  3. 道なりにある観光資源は、大聖院、多宝塔、大元公園と外せないスポットばかりだが、多宝塔以外は普通に舗装された通りから行くことも可能なので、絶対に通らねばならない道ではない(多宝塔にも、あせび歩道と書かれた階段を使わず行くことができるが、この道もあせび歩道と呼ばれているのかは未調査)
  4. 多宝塔から大元公園に行く道の途中にちょっとした展望スポットがあり、休憩できる四阿も設置されている。この場所から見る五重塔と千畳閣はなかなかのもの。写真好きには外せない展望台
  5. あせび歩道という名称は、多宝塔の丘付近にアセビがたくさん生えているからつけられたといわれている。アセビは宮島じゅうにあるが、鹿が食べると酔ったようになってしまうことから、鹿たちに嫌われている樹木として、鹿だらけの宮島では有名な話

宮島にはみどころが山とあるため、あそこもここもと彷徨ううちに、様々な道を通ります。いちいち、現在通っているのが、何という通りなのか、など気にしている時間はないのが普通かと。同じく最初はそうでした。博識なベテランガイドさんたちにご案内をお願いしたことも、一度ではありません。ガイドさんたちは宮島の隅々まで精通しておられるので、様々な絶景ポイントにもお連れくださり、地元の方しかご存じないような「通」の店をご紹介くださったりと、至れり尽くせりの贅沢を満喫しました。まさに感無量です。

ですが、ガイドさん方曰く、やはり二度三度と通わないと理解できないものである、と。まさにその通りです。ガイドさんにお連れいただくと、道に迷うことはありません。最短距離でいいとこ取りです。帰宅後も素敵な思い出に胸がときめいています。そこで宮島とのご縁はおしまい。つぎはほかの観光地へ向かう、という方はそれで問題ありません。でも、二回目、三回目、四回目……とリピートする人はそうはいきません。毎回毎回ガイドさんにお願いするわけにもいかないでしょう(高いですよ、貸切りの場合は。最高級の贅沢ができ、一生忘れられない思い出になること必定ですが)。

となると、ガイドさんのご案内を卒業し、一人歩きを始めることになりますよね。そんなとき、あれ? 二回目(三回目)なのに、前回通った道が分からない……となります。ガイドさんとご一緒している際にも、任せきりにせずに、自ら道順を記憶できる器用な方はいいのですが、少なくとも執筆者には無理です。道が多すぎて、同じ観光資源でも行き方が大量にあり、ここはどこ? 私は誰? となります(厳島神社と弥山だけの人はご安心ください)。

もはや身体が覚えてしまうくらい通っても、脳内で整理はできていないので、記事にまとめようとするとグチャグチャに。まあ、かなりの方向音痴である、という特性も災いしているのですが。渡海数十回目にして、漸くこの道をこう行けば、あれがある、と少しずつ他人さまにもご説明できるようになりました。まだまだ序の口ですが。宮島の道って、そのくらい奥が深いんですよ。

こんな方におすすめ

  • 奥ゆかしい散歩道が好きな方
  • 多宝塔に行こうと思っている方

オススメ度


(オススメ度の基準についてはコチラをご覧くださいませ)

五郎セーラー服吹き出し用イメージ画像
五郎

ミルを襲った凶暴な鹿にも、苦手なものがあったとは。鹿よけにリュックにつけたら効果あるかな?

鶴千代吹き出し用イメージ画像(仕官)
鶴千代

ソフトクリームのながら食べなどをするからいけないのだ。マナーのなっていない観光客の多さにせっかくの厳島合戦の戦跡が台無しだ。

ミル吹き出し用イメージ画像(涙)
ミル

襲われた記憶がフラッシュバックするから話題にするのやめて。それより、君たち、そのヘンテコなコスプレで出てくるのやめなさい(可愛いけど)。

鶴千代吹き出し用イメージ画像(仕官)
鶴千代

ただのコスプレではない。元就公をリスペクトしているのだ。馬鹿にするな。

五郎セーラー服吹き出し用イメージ画像
五郎

俺だって負けてない。21世紀の装備で陶入道を助けて、歴史を変えるんだ!

ミル吹き出し用イメージ画像(涙)
ミル

ややこしくて、意味分かんなくて、目茶苦茶……。

腰少浦神社付近での記念写真
みやじま・えりゅしおん

宮島旅日記のまとめページ(目次)です。厳島神社とロープーウエーで弥山頂上は当たり前。けっしてそれだけではない、宮島の魅力をご紹介。海からしか行けない場所以外は、とにかく隅々歩き回りました。宮島の魅力は尽きることなく、旅はなおも続きます。

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  • この記事を書いた人
ミルイメージ画像(アイコン用)

ミル@周防山口館

廿日市と東広島が大好きなミルが、広島県の魅力をお届けします

【取得資格】
全国通訳案内士、旅行業務取扱管理者
ともに観光庁が認定する国家試験で以下を証明
1.日本の文化、歴史について外国からのお客さまにご案内できる基礎知識と語学力
2.旅行業を営むのに必要な法律、約款、観光地理の知識や実務能力
【宮島渡海歴三十回越え】
厳島神社が崇敬神社です
【山口県某郷土史会会員】
大内氏歴代当主さまとゆかりの地をご紹介するサイトを運営しています

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