厳島神社の摂社・末社はたくさんありますが、今回はその中から「金刀比羅神社」をご案内します。厳島神社の出口から橋を渡ってすぐの場所にございますので、時間がない観光客の皆さまでもお気軽に立ち寄れます。社名の通り、讃岐の金比羅宮と関係があると思われますが、佐伯鞍職がお祀りされているのは宮島独特です。(訪問回数5回以上)
広島県廿日市市宮島町の金刀比羅神社とは?
厳島神社の末社のひとつです。本社からほど近い場所にご鎮座されており、常にご参拝の方々がおられます。御祭神は金刀比羅神社の総本社・讃岐の金比羅宮と同じ大物主命ですが、宮島なだけに、厳島神社の創建者・佐伯鞍職さまもおられます。
いつ頃創建されたのか、どなたが勧請したのかなどについては御由緒看板に記載がありません。大正・昭和期にそれぞれ一社ずつ合祀されたと書かれていますので、御祭神も増えたのではと思われますが、その中に佐伯鞍職さまもおられたのかは不明です。合祀された中に、住吉神社(元大願寺の鎮守)も入っていますし、海の神さまの神社であろうと思います。
金刀比羅神社・基本情報
ご鎮座地 〒739-0536 廿日市市宮島町 朧町
御祭神 大物主命、佐伯鞍職
別名 三輪明神
主な建物 社殿、鳥居、灯籠、手水鉢
主な祭典 例祭(十一月十日)
(参照:『宮島本』、ご由緒看板、建物は目視、ご鎮座地は Googlemap)
金刀比羅神社・歴史と概観
金比羅信仰の神社
金比羅神社は全国に大量にありますが、その総本社は讃岐国(香川県)にある金刀比羅宮です。実家が四国ですので、総本社を訪れたことがありますが、なにぶん幼少期のことゆえ、記憶に残っておりません。
今、金毘羅宮さまのホームページを拝見したところ、御祭守は大物主神であること、数あるご利益の中に海の守護神であることなどが書かれておりました。さらに、相殿で崇徳上皇も御祭神となっておられました。これは、崇徳上皇が保元の乱で讃岐に流され、彼の地で亡くなられたことに由来するようです。(参照:金比羅宮さまホームページ)。
ところで、大物主神とは? となるわけですが、『日本 神さま事典』によれば、大己貴神の前に現われた「光に包まれた」神さまで、大己貴命の「幸魂奇魂」と自称したとか。大己貴神はこの神さまを三輪山にお祀りしたそうです。「幸魂奇魂」とは何ぞ? と思いますが、『神さま事典』には「分身」とありました。『日本書紀』の注にはもっと難解なことが書いてあったのですが、わかりやすいほうでいいでしょう。
宮島の金刀比羅神社
宮島の金刀比羅神社には、崇徳上皇ではなく、佐伯鞍職がお祀りされています。さらに、御由緒看板によれば、「留守口恵比須神社」と「大願寺鎮守住吉神社」とが合祀されているといいます。いずれも、大正・昭和期に合祀されたもので、明治時代以降の寺社整理の一環でしょうか。
住吉神社が合祀されていることや、そもそも総本社の金比羅宮に海の神さまとしてのご利益があることなどから、海の神社であろうと想像できます。海辺にご鎮座されてこといないものの、宮島にある神社ですからね。御由緒看板に珍しくもご利益について書かれていなかったので、ここは正確ではありません。
さりげなく、厳島神社の創健者・佐伯鞍職がお祀りされているのも宮島ならではです。
金刀比羅神社・みどころ
厳島神社にほど近い場所にご鎮座されております。否が応でも目に入るかと。町中に佇むごく普通の神社ではありますが、通り過ぎてしまうのは惜しいです。厳島神社参詣の前後にそっと立ち寄ってみましょう。
金刀比羅神社・全景
すぐおとなりにお土産物屋さんが写り込んでしまっています。ちょっと窮屈そうにご鎮座なさっていますが、いつ訪れても参拝している方がおられるので、皆さまの信仰が篤い神社さまなのだろうと感じました。
御由緒看板
「金刀比羅神社
御祭神 大物主命
佐伯鞍職
例祭日 十一月一日
御由緒 大正四年に留守口恵比須
神社を昭和三十八年に
大願寺鎮守住吉神社を
それぞれ合祀した」
(看板説明文)
このタイプの御由緒説明看板が、しっくりきます。宮島の案内看板類は、海外のお客さまにも向けて英語の解説文をつけたり、次々と新しいものに変っています。でも何となく、この看板はそのままで残して欲しい、そんな気がしました。
金刀比羅神社(廿日市市宮島町)の所在地・行き方について
ご鎮座地 & MAP
ご鎮座地 〒739-0536 廿日市市宮島町 朧町
(※Googlemap にあった住所です)
アクセス
厳島神社出口からすぐです。進行方向右手に大願寺、左手に金比羅神社です。出口の先は御手洗川で橋を渡る感じとなります。
参照文献:『宮島本』、『日本 神さま事典』、『日本書紀』(現代語訳)
金刀比羅神社(廿日市市宮島町)について:まとめ & 感想
金刀比羅神社(廿日市市宮島町)・まとめ
- 厳島神社末社のひとつ
- 御祭神は大物主命。大国主神の国土平定神話の中で、海からやって来た神さま。金比羅宮の御祭神で、全国の金刀比羅宮の総本社にあたる
- 宮島の金刀比羅神社には、佐伯鞍職もお祀りされているのが特色。ほかにも、大正・明治時代にほかの神社の神さまがたが合祀された
- 由緒看板には説明がないが、お祀りされている神さまのご利益から、やはり海にまつわるご神徳であると考えられる
- ご鎮座地は、厳島神社からほど近い場所。町中にあるため、ちょっとコンパクトな感じとなっている。むろん、大きさはご神威にはまったく関係ない
金比羅宮に行った頃の幼い記憶が懐かしい。今は金刀比羅信仰といえば、宮島になりました。町中の神社さまは皆そうですが、すぐ傍まで商店や民家が迫ってちょっと窮屈そうです。それでも宮島では、ご鎮座なさっている、という感覚がきちんとありますが。これが、宮内などになると、完全に埋もれてしまっております……。
厳島神社に近いという地理的条件から、神社巡りを楽しむ方々が立ち寄っておられるのか、地元の方々の信仰がとても篤いゆえにか、いつ訪れてもどなたかがご参拝なさっておられます。それゆえ、写り込みを避けてお姿を写真に撮るのがけっこう難しかったりします。また、どうしてもおとなりのお店が写り込んでしまいますので、プライバシーの問題も悩ましいです。
御由緒には創建年代などが書かれておりません。いつの時代にか、総本社から勧請されたものであろうと推測しますが、間違っていたらいけませんので、言及しておりません。
こんな方におすすめ
- 厳島神社の摂社・末社を極めている方に
- 普通に神社巡りを楽しんでいる方に
オススメ度
(オススメ度の基準についてはコチラをご覧くださいませ)
この神社さ、参拝回数数え切れないよね。
そうね。ご鎮座地があまりにも好立地だから。
それなのに、こんな低レベルの写真しかないの?
(そ、そこか……)あのね、もう何度も訪れているとね、お写真はいいかなと思ってしまうの。つまりは、ご参詣記念に一枚あればいいわけで。
記事もそうだけど、写真技術もまるで進歩しないね。
……。
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みやじま・えりゅしおん
宮島旅日記のまとめページ(目次)です。厳島神社とロープーウエーで弥山頂上は当たり前。けっしてそれだけではない、宮島の魅力をご紹介。海からしか行けない場所以外は、とにかく隅々歩き回りました。宮島の魅力は尽きることなく、旅はなおも続きます。
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