厳島合戦の「定説」はほぼすべてがここから来ている。近現代の作家先生方も、だいたいはここからアレンジしているにすぎない。主君殺しの悪人を退治するという大義名分を果たした善人・毛利元就は、そのまま防長を手に入れて領土を拡大している。単に、時流に乗って、領土を広げたようにしか見えない。敗者は何も語れない。無味乾燥な史書は確かにつまらないし、敗者の側にもそれなり感動的なシーンが用意されてはいる。しかし、やはり、どことなく気分が晴れないのは気のせいだろうか。
卷第二十六
陶全薑嚴島渡海之事
陶入道嚴島の城を圍む 附 元就後詰之事
能島久留島元就に與力す 附弘中隆包軍議の事
卷第二十七
毛利元就嚴島渡海附同所合戰事
大和伊豆守被擒(いけどられる)事
三浦越中守最後之事
弘中三河守父子龍之馬場に上る 竝 可性宗阿彌狂歌之事
卷第二十八
陶全薑最後之事
弘中隆包父子最後之事
重見因幡守自害之事
大和伊豆守被誅(せらるる)事
伊香賀民部が事 竝元就父子歸陣之事
卷第二十九
杉杉森元就屬事
陶長房滅亡之事
永興寺開基竝大內家物語の事
伊賀路之高山寺岳落城の事
玖珂之鞍懸城沒落の事
坂新五左衛門須々萬表物見事
巻第三十
陶小郎滅亡之事
杉內藤合戰之事
山內隆通元就に屬する事
吉川元春石州發向の事
須々萬城合戰之事
富田若山城明け退く事
卷第三十一
土佐國長濱城沒落 竝 長曾我部國親逝去事
大友義鎮豐前發向之事
防州須々萬落城之事
大內左京大夫山口落之事
大內義長最後 附 陶鶴壽丸最後之事
攝州に高鹽滿つる事
秋月文種切腹 附 筑紫惟門防州退事
卷第三十二
嚴島萬部經轉讀之事
防長一揆蜂起之事
益田藤包降參之事
杉原忠興死去附妾貞順事
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イマドキ『陰徳太平記』
『陰徳太平記』は江戸時代に書かれた軍記物です。毛利家臣によって書かれ、「陰徳思想」によって、毛利元就を礼賛する書物です。毛利家と関わりのあった他家の人々についても面白おかしく書かれているので、読み物としてはそれなりですが、信憑性は薄いです。
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ミル
疲れた……。いちおう、大内輝弘まではお付き合いしようと思っているケド、力尽きた。あと、もう少しだと思うんだけど……。ちなみにこれを翻訳しようとしているとか、そんな意味ではありません。引用するときいちいち本を開くのがメンドーなので。