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地御前観音堂(広島県廿日市市地御前)

地御前観音堂2

地御前は地御前神社で有名な町ですが、みどころはそれだけではありません。町中に佇む小さなお堂から、地域の氏神神社さままで、たくさんの観光資源がございます。

今回はその中から、地御前観音堂をご紹介します。広島新四国八十八ヶ所霊場の第五番になっていることから、知る人ぞ知る霊場ですが、何も知らずに近くを行き過ぎてしまう方もおられると思われます。

小さいながらとても魅力的なお堂ですので、一人でも多くの方に訪れて欲しい場所です(訪問回数1回)。

広島県廿日市市地御前の地御前観音堂とは?

地御前神社にほど近い、十一面観音立像を本尊とする観音堂です。「広島新四国八十八ヶ所霊場」の五番目にあたります。観音像は室町時代後期の作品と考えられており、とても貴重なものです。

像については年代の推定がなされているものの、観音堂については開基の年代など詳しいことは分かっていません。言い伝えによれば、宮島に建てられた産屋と関係している(ともに建てられた)とされているようです。しかし、これについては「伝承」扱いゆえ、いつ頃誰によって建てられたものなのかは、今のところ不明です。

地御前観音堂(廿日市市地御前)・基本情報

所在地 〒738-0042 廿日市市地御前3-23-17 
名称 智秀山観音堂
開基年代 不詳
本尊 十一面観世音菩薩
(参照:廿日市観光協会パンフレット、現地案内版、所在地は Googlemap にあったもの)

地御前観音堂・歴史と概観

本尊以外の年代は不明

地御前神社からほど近い場所にある観音堂です。本尊となっている十一面観音立像は室町時代後期の作品とされていますが、観音堂のほうは建築年代などの記録が伝わっておりません。廿日市観光協会さまのパンフレットに以下のような説明文がございました。

智秀山観音堂と梵鐘にみえますが開基の時代は定かではありません。伝承によると宮島に産屋が設けられたが、それに併せて観音堂も建立されたという。本尊は十一面観音立像、室町時代後期の作。
出典:廿日市観光協会パンフレット

正直、これを拝見しても「?」でした。産屋と観音堂との関連がわからないからです。あくまでも、町歩きコースにお申し込みするための参考資料としてのパンフレットですから、詳細はガイドさんと町歩きしない限りはなんともです。建物だけ拝見して、素敵だわ、と感激できる方はそれでいいのですが。

誤植でない限り、産屋が建てられたのは宮島。観音堂は地御前となりますから、なんで? となってしまうのです。最初、出産はある意味「穢れ」ともされており、神の島・宮島には産屋を建てることができなかったゆえにかと考えました。産屋も観音堂もともに地御前にあったものかと。しかし、よく見ると「宮島に」となっておりますから、産屋は宮島に、観音堂は地御前にと読めます。

また、宮島の資料館に産屋もありましたので、産屋を建ててはいけないというルールはなかったのではないかと。宮島に産屋と観音堂を建てていて、観音堂のみ後に移転したのでしょうか。開基年代は不明とあることから、本尊以外についてはよく分からない、となろうかと。そもそも、産屋云々についても「伝承」と書かれておりますので、正確なところは不明というのが正解と思われます。

八十八ヶ所霊場のひとつ

観音堂入口に「広島新四国八十八ヶ所霊場 第五番 観音堂」と書かれております。弘法大師ゆかりの八十八ヶ所の霊場をすべて巡る旅におでかけになる方にとっては、外せない場所です。八十八もの寺院を回るなど、聞くだに恐ろしいと感じる執筆者には縁もゆかりもない場所となります。

別にすべてを回る必要もなく、たまたま付近をとおりかかったら、素敵なお堂があったので入ってみましたの方も問題ないでしょう。こぢんまりとした小さな堂宇ながら、お手入れが行き届いている庭園があり、なかなかに趣がありました。

安置されているご本尊は、室町時代後期の作品ということですので、これまた極めて貴重なものとなります。残念ながら、文化財指定などはないようですが。

地御前観音堂・みどころ

「広島新四国八十八ヶ所霊場」を回っている方は、五番目にご参詣ください。それ以外の方は、地御前町歩きをしながら地御前神社はじめ付近の観光資源とともに、こちらの観音堂もお忘れなく。

「広島新四国八十八ヶ所霊場 第五番」

地御前観音堂・案内看板

こちらが、まぎれもなく「広島新四国八十八ヶ所霊場」の一つであることを示す看板です。八十八ヶ所もあるなんて、気が遠くなりそうです……。まだまだ五番目ですから、ほんの入口というところですね。

観音堂

地御前観音堂

観音堂の全体像はこんな感じです。開基年代不明とされていますが、それなり年代を感じさせます。

梵鐘

地御前観音堂・梵鐘

観光協会さまのパンフレットに、「智秀山観音堂と梵鐘にみえます」とありましたが、こちらの鐘に書かれているのでしょうか。

庭園

地御前観音堂・庭園

お堂に上がっていく階段の下には、このように可愛らしいお庭が。石造りの九重塔もありました。きちんとお手入れされており、参詣者の心も癒やされます。


地御前観音堂(廿日市市地御前)の所在地・行き方について

所在地 & MAP 

所在地 〒738-0042 廿日市市地御前3-23-17  
(※Googlemap にあった住所です)

アクセス

最寄り駅は、地御前駅です(ひろでんさんの路面電車の駅です)。皆さま普通は先ず、地御前神社さまに向かうと思われますので、その帰り道で立ち寄ることができます。もちろん、観音堂から先に立ち寄っても問題ありません。Googlemap のナビゲーション起動で、問題なく辿り着けます。ただし、地元の方の邸宅がある中に佇んでおられますので、歩きながらのスマートフォンとならぬよう、くれぐれもお気を付けくださいませ。

参考文献:廿日市観光協会さまパンフレット、現地案内看板

地御前観音堂(廿日市市地御前)について:まとめ & 感想

地御前観音堂(廿日市市地御前)・まとめ

  1. 広島新四国八十八ヶ所霊場の第五番にあたる観音堂
  2. 地御前の町並みの中に佇んでいる
  3. こぢんまりとした堂宇ながら、手入れの行き届いた庭、年代を感じさせる建物など非常に奥ゆかしい風情
  4. 堂内に安置された十一面観音立像は室町時代後期の作品とされ、とても貴重なもの
  5. 観音像については、年代がだいたい特定されているが、堂宇については不明。いつ頃誰によって建てられたものなのかが知りたいところ。言い伝えによれば、宮島の産屋とともに建てられた観音堂であったらしい
  6. 梵鐘に智秀山観音堂と刻されており、正式名称のようである(参照:観光協会パンフレット)

結局のところ、観音像の作成年代以外、何もかもが不明です。しかし、観音堂は参詣者の目の前に確かに存在しているわけですので、地元の方々にお話をお伺いすればいつ頃からあったかなどわかるのではないかと思います。やはり、町歩きガイドさんのツアーに参加することが必須の場所です。もちろん、そんなことはどうだっていい、という方はそれでかまいません。

地御前の町並みもとても素敵でして、どの項目でご紹介しようか迷い中です。昔ながらの町並みと現代の市民の方々の邸宅とが共存しております。観音堂の周囲は現代の邸宅ですので、写真撮影などには配慮が必要となります。しかし、ちょっと脇道に逸れると、昔ながらの町並みが現われたりします。この何とも言えない絶妙な感覚は、とても言葉では言い表せません。

しかし、廿日市はどこも宅地化がすごいですので、一年前の光景が来年には見られない、といった悲劇も起こり得ます。昔ながらの古民家をそのままにしておくことも、建て替えて最新の建物にすることも居住者の自由ですから。歴史的文化保存地区云々のようになってしまえば、町並みは守られますが、住んでいる方々にとっては面倒なことにもなりかねず。この問題はなかなかに複雑だと思いました。

こんな方におすすめ

  • 広島新八十八ヶ所霊場を回っている方に
  • 町中に佇む小さなお堂などに風情を感じる方に

オススメ度


(オススメ度の基準についてはコチラをご覧くださいませ)

五郎セーラー服吹き出し用イメージ画像
五郎

この「おすすめの方」、書くのにものすごい悩んでたね。

ミル吹き出し用イメージ画像(涙)
ミル

そうね。一番目は簡単だったけどね。

五郎セーラー服吹き出し用イメージ画像
五郎

町中に佇む小さなお堂に風情を感じるかどうかは別だけど、俺たち、相当数そういう所を回ったよね。どこもいい感じだった。この観音堂も大好きだよ。

ミル吹き出し用イメージ画像
ミル

そうだね。とても素敵だった。

大頭神社・鳥居
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廿日市の観光資源と言えば、宮島と厳島神社の知名度が圧倒的です。それゆえに、ほかの観光地の影が薄くなってしまっている嫌いがあるのが、とても残念です。けっして、それだけではないですよ、ということを証明したく、町中を歩き回っています。

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  • この記事を書いた人
ミルイメージ画像(アイコン用)

ミル@周防山口館

廿日市と東広島が大好きなミルが、広島県の魅力をお届けします

【取得資格】
全国通訳案内士、旅行業務取扱管理者
ともに観光庁が認定する国家試験で以下を証明
1.日本の文化、歴史について外国からのお客さまにご案内できる基礎知識と語学力
2.旅行業を営むのに必要な法律、約款、観光地理の知識や実務能力
【宮島渡海歴三十回越え】
厳島神社が崇敬神社です
【山口県某郷土史会会員】
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