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不動院(広島県広島市)

2022年9月2日

不動院・楼門前参道

広島県広島市東区の不動院とは?

不動院は広島県広島市にある真言宗寺院です。安芸国の安国寺、安芸国の守護・安芸武田氏の菩提寺として栄えていましたが、武田氏の滅亡によって廃れてしまいました。その後、毛利家の「外交僧」安国寺恵瓊によって再興されました。福島正則が広島を治めていた時、その祈祷師が不動明王を祀ったことが、「不動院」という名称の由来です。

天文年間に、大内義隆が建築した金堂は、中世では全国最大規模の禅宗様式仏殿として有名です。金堂はもともと山口にありましたが、天正年間に現在の場所に移築されたものです。このほかにも、鐘楼、楼門、仁王立像など重要な文化財が多数あります。

原爆投下時にもほとんど被害を受けることがなかったため、文化遺産の数々が守られたのは大変に貴重なことです。

不動院・基本情報

住所 〒732-0068 広島市東区牛田新町3-4-9 
最寄り駅 アストラムライン「不動院前」から徒歩
山号・寺号・本尊 新日山・安国寺・薬師如来
宗派 真言宗 別格本山
HP http://www.megaegg.ne.jp/~fudouin/

不動院・歴史

 江戸時代の書物によれば、開基は僧空窓であるという。ただし、いつ頃建てられたのか、確かなことは分からないそうである。本尊の薬師如来坐像が平安時代の様式であることから、かなりの歴史を持つ寺院であると考えられている。
足利尊氏が諸国に安国寺を建てたとき、安芸安国寺となり、守護・武田氏の菩提寺としても栄えた。大永年間、武田氏と大内氏とが抗争を繰り広げる中で、安国寺は焼け落ち衰退した。それを再興したのが、安国寺恵瓊だった。恵瓊は金堂はじめ、多くの伽藍を復興した。
関ケ原の合戦で西軍が敗れると、毛利家は安芸国を去り、恵瓊も命を落とすことに。安国寺は寺領を没収されるなどして、またしても不運に見舞われた。
その後、福島正則の時代に、禅宗から真言宗に改められ、本尊が不動明王となったことから、不動院と呼ばれるようになった。正則の後、安芸国は浅野家の統治下となったが、当寺院は藩主たちの保護を受けたという。
広島に原爆が投下されたとき、多くの貴重な文化財が失われた。しかし、不動院は大きな被害を受けることもなかった。『広島県の歴史散歩』によれば牛田山が衝撃 や爆風を防」いだとある。(参照:説明看板)

これだけだと、どこが大内氏と関連のある寺院なのだろう? と感じる人もいるかも。しかし、広島市内唯一の国宝とされる不動院の金堂は、じつは山口から移築されたものなのである。それゆえに、ゆかりの地を回っている方々は必ず、この地をも訪れるのだ。

現在の瑠璃光寺は元香積寺跡地に建っていて、だけど五重塔だけは元々香積寺にあったもの。不動院の金堂も同じく、元香積寺に建っていたものである。このことは、平成十年に、関口欣也先生が明らかにされた。金堂天井の絵にある住持名などを根拠になさったという。「天井墨書」によれば、建立されたのは天文九年ということなので、大内義隆の時代である。(参照:山口市史 史料編 大内文化)

不動院・みどころ

国宝が一つ。重要文化財が四つ。広島県重要文化財が二つ、広島市重要文化財が三つある。まさに文化財の宝庫。仏像や文書類は無理でも、建造物は見放題。なお、豊臣秀吉の遺髪塔、福島正則の供養塔、安国寺恵瓊の墓、武田刑部少輔墓と供養塔や墓碑が合計四つもある。

「紙本墨書不動院文書」――広島県指定文化財。安国寺恵瓊の書状類・豊臣秀吉朱印状・毛利輝元書状・福島正則書状

金堂

不動院・金堂

国宝。「現存する唐様仏殿にあって最大の規模」であり、「大内氏後期でみられた山口地方独特の構造」を今に伝えるものとして貴重(上掲書)。

天文九年(1540)頃、大内義隆が建築した。天正年間(1573~92)、安国寺恵瓊が山口からこの地に移築し、仏殿とした、と伝えられている。桁行三間、梁間四間で、中世の禅宗様仏殿では全国でも最大規模。(参照:説明看板、『広島県の歴史散歩』)

金堂には「木造薬師如来像」が安置されている。定朝様の特徴をあらわしたもので、平安時代後期の作品とかんがえられている。国指定重要文化財。(参照:『広島県の歴史散歩』)

原爆の災禍にも耐え抜いた金堂だが、現在屋根の損傷がひどいために葺き替え工事をする旨、看板が立っていた。日付が書かれていなかったので、現在も寄付を募っておられるのかわからないけれども、杮板を寄進すると、寄進者の名前とメッセージを記した板が、金堂の一部分となって後世に伝えられるというものすごい企画だ!

五郎涙イメージ画像
五郎

えええ! 俺、知らなかったよ。寄進すべきだったな。

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ミル

そうだね。写真撮っただけで帰ってきてしまった……。

鐘楼堂

不動院・鐘楼堂

国重要文化財指定。

永享五年(1433)頃の建立という(国指定重要文化財)。中に高麗鐘がある。銘や痕跡から天正年間に移築された可能性がある。(参照:説明看板、『広島県の歴史散歩』)

金堂が天正年間に移築されたものであることから、同じ時期に移されてきたものだとしたら、同じ場所にあったのではないか、と何となく考えてしまう。永享五年といったら持世代で、金堂よりもはるかに古い建物ということに(のわりには、何となく新しく見えるんですが……。補修工事済?)。

楼門

不動院・楼門

同じく国重要文化財。1594年 (文禄3) 頃、文禄の役に従軍した安国寺恵瓊が朝鮮から持ち帰った材木で建立したとされている。しかし、建築様式は室町時代のものとみなされており、恵瓊は朝鮮の材木を使って修復を行ったとも考えられているという(参照:説明看板)。

仁王立像には永仁二年(1294)の銘がある(県指定文化財)。(参照:『広島県の歴史散歩』)

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五郎

まさか、これも移築されたものとか言わないだろうな?

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ミル

そうは書いていないよ。もともと恵瓊さんは廃れていた寺院を復興したのだから、お寺そのものはずっと古いんだもの。それに、たとえ場所が変わったって、そこで大事にしてもらえればいいんだよ(それよりも「木造仁王立像」をよく見ていなかったことに気づいたよ。写真では見えているのに……)。

不動院(広島県広島市)の所在地・行き方について

所在地 & MAP

所在地 〒732-0068 広島市東区牛田新町3-4-9 
最寄り駅 アストラムライン「不動院前」から徒歩

アクセス

広島高速交通アストラムラインに「不動院前」という駅があり、文字通り真ん前です(徒歩二分)。広島駅からですと、新白島で山陽本線から乗り換えです。ちなみに、となりの城北からは広島城に行けます。二ヶ所一緒に回るのがお得です。

参照文献:「山口市史 史料編 大内文化」山口市 平成二十二年、不動院様説明看板、『広島県の歴史散歩』

不動院(広島県広島市)について:まとめ & 感想

不動院(広島県広島市)・まとめ

  1. 元々は安芸国安国寺にして安芸武田氏の菩提寺
  2. 武田氏滅亡により衰頽していたのを、安国寺恵瓊が再興
  3. 国宝となっている金堂は山口から移築された大内文化の遺産
  4. 金堂以外にも、鐘楼、楼門、仁王像、古文書類と貴重な文化財が大量にある
  5. 広島市内にありながら、原爆の被害をほとんど受けることがなく、文化財の数々が現代まで伝えられた

大内氏が建立した建築物がなぜか他県で「国宝」になっている……。またか、と思ってしまいます。こちらの金堂は破却されてどこぞの城の建築資材などにされることなく、そのまま移築されて現在に受け継がれているわけなので、幸いなほうとは言えますが……。前向きに考えて、「さすが大内氏ゆかりの建築物、国宝になってるじゃん!」と、所在地のことは忘れてしまえば、大内文化の偉大さを再確認して自慢できます。

お隣広島県にあり、しかも最寄り駅から徒歩2分という行きやすさ。多くの方がご訪問済みであろうことと思います。広島県はさすが中国地方第一の県。広島市内は路面電車や都市交通が発達しており、ほとんどの観光資源にお気楽に到達できるという観光客に優しい都市です。駅から5分くらいでもやはり迷ってしまうことがあるんだよね……。という方向音痴の方(当てはまります)でも、こと不動院に関しては心配ご無用です。むしろ、不動院駅から辿り着けなかったという方を探すことが稀有だと思います。アクセスについては全く問題ないのでご安心ください。

どのような観光資源についても言えることですが、一度限りのご訪問だと、十分に理解することは難しいです。とは申せ、日本全国に存在する数え切れない文化財をすべて見ておきたいと頑張っている方々にとっては同じ寺院さまを複数回訪問することは難しいケースもあるでしょう。見落としがないよう、金堂、鐘楼、楼門、仁王像を存分にご堪能ください。幸い、わりあいコンパクトにまとまっておりますし、寺院さまの解説看板類も懇切丁寧ですので、一度限りでも悔いのないご訪問は可能です。

境内には安国寺恵瓊や安芸武田氏の人の墓、豊臣秀吉、福島正則にかかわる供養塔などもあった模様です。金堂を見尽くしてない気がしますので、再訪時にはこれらの方々の墓所も確認したいと思っております。

こんな方におすすめ

  • 「国宝」クラスの文化財は必ず見学したいです(金堂をご覧ください)
  • 「大内文化」ゆかりの文化財を見尽くしたいです(金堂を見てください)

オススメ度


(オススメ度の基準についてはコチラをご覧くださいませ)

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五郎

変な爆弾のせいで広島の人たちが酷い目に遭ったなんて……。俺たちの時代も戦だらけだったけどさ、妙なもの一つ落とすだけで数え切れない人たちを苦しめるなんて、とんでもない時代だよ。ミルはイマドキに生まれて良かった云々ばかり言うけど、そうとも言えないところもあるんじゃないの?

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ミル

広島に通うようになるまで、ミルもあまりにも知らなすぎた。文明の発展は人類のためになるとばかり思ってたけど、それを悪いことに使う人がいるなんて許せないね。世界中を見回すと、未だに戦争やっているところは存在するんだよ。この国が平和であることに感謝しなければ。でも、過去にはこの国でも戦争をやっていて、多くの方々が犠牲者になったという事実をけっして忘れてはならないね。

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五郎

戦渦を耐え抜いて今の世に伝えられた金堂は広島市内の宝だよ。ご先祖が作った貴重な遺産を後世まで伝えていかなくては。

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大宰大弐

むむ、わしが作らせたものがなぜ安芸国に!?

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ミル

ちょっと場違いなんですけど、空気読めませんかね?

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五郎

(なんだ、作ったのはこの人かよ)

瑠璃光寺五重塔記念撮影
五郎とミルの防芸旅日記

大内氏を紹介するサイト「周防山口館」で一番の人気キャラ(本人談)五郎とその世話係・ミルが、山口市内と広島県の大内氏ゆかりの場所を回った旅日記集大成。要するに、それぞれの関連記事へのリンク集、つまりは目次ページです。

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ミル@周防山口館

大内氏を愛してやまないミルが、ゆかりの地と当主さまたちの魅力をお届けします

【取得資格】
全国通訳案内士、旅行業務取扱管理者
ともに観光庁が認定する国家試験で以下を証明
1.日本の文化、歴史について外国からのお客さまにご案内できる基礎知識と語学力
2.旅行業を営むのに必要な法律、約款、観光地理の知識や実務能力

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