月下郎君賛

あやつの肖像画賛が重要文化財になっているのに、我が物がないだと? どういうことだ? あやつのものより数万倍は優れた名文を書こうと思う者が、列を連ねたはずだ。それとも、我が息子や孫が、我が功績を讃えようとはしなかったとでも?
我らの亀童はそんな親不孝者ではないはずだ。違うか?

勿論ですわ。

僕、父上のためなら何でもするよ。肖像画に賛辞が欲しい? 幾らでも書くよ。うんうん、当世随一の絵師と文筆家を集めてね。
父上の功績をいちいち書き連ねていったら、富士の高嶺よりも高い書物の山ができるよーー。(瞳キラキラ)

おい、このファザコンなんとかしろ。

ふん、僕の父上なんか、管領を務める畠山家の家督を……

……。こいつら、なんで皆、こうなの? どうせ俺は、父無し子だよ……。ただの守護の身内だよ。威張るなよ、ただの守護……。

文明年間。京。

おお、今宵の月も麗しい……だがしかし、いい加減京は飽きた……。
あやつも今頃、同じこの月を見ておるのか……。

その頃の周防国

鬼の居ぬ間に洗濯~
主の留守は鶴ちゃんのパラダイス~
いつまでも帰って来ない=「もう周防国なんてどうでもいい。生涯京で歌詠んで暮らす」
要らないならもらっちゃおう💖
俺についてくる人手を上げて
はい、全会一致~ふふん♪

いかん。一日も早く、周防に戻らねば……。

まあ、なんとお美しく雅なお方……。

それだけではない、ようしたんれいなうえ、勇猛果敢な花守護様だ。

畠山義就・義豐親子には、自らの領域外にある四字熟語が平仮名化する、という共通項があるようだ……。
(注:このサイトはすべてフィクションです)

で、花守護様とは?
太平記で有名な北畠顕家は、絶世の美少年な上、軍略に長けた将だった。
だから、美しい花将軍なんだと思うけど、将軍って定義がよく分らないし、この方には当てはまらないみたいなので。
『雲が描いた月明かり』では、ヒロインが「花若様」連発してたし。
まあ、美しくて、雅で、高貴な意味であろう、と推測。
あああ、しかし、歴史上守護は大量にいるけど、花守護様はここだけだから。

いったい、誰がこの駄文を?

京でも評判の美女、今小路はこうして日の本一の美男と結ばれた。

美女と美男から産み出されるのは、突然変異でもない限り、玉のような若子。

強くて、雅なこのお方から、後に西国の覇者となる、義興様が生まれた。
お父上に似て、同じく、花のような若君であった。

え? 花若様? そんな、照れるなぁ😌

なんなんだ? 韓流時代劇かここは……(呆然)

が、お父上ほどは雅ではなく、公家マニアな性癖は隔世遺伝により、その息子・義隆へと伝えられた。

ほほほ。我が威光は京にまで。
誰よりも高い位に昇りつめた当主じゃよ~
ふふふ。誰にも真似できぬだろう。
ここだけの話、官職のランクならおじいさまもわしには勝てんぞよ。
おおおっ、今宵の月もまた、雅で美しい……。
美しいものを愛でる特権は、西の京の主たるこのわしだけのもの。
そのほうが望めば、天に昇る月すら、手に入れてみせようぞ。

この父と祖父から生まれた若君が、醜男だったり、無能だったりすることは想像できない。しかし、どういうわけか、イケメン伝説がないばかりか、彼のイメージはかなりヒドいものとして全国化されていった……。

たとえば……

このようにして、イメージを貶められています。

む? 何を言うか。ここでは皆に愛されておる。

わしとても、その辺りの事情には多少通じている。
めいよきそんで訴えてやるわい。
で、サブカルなんたら、とは?

……。
でも、なんか「見た目の良い」小間使いと小者を募集してたよね……

すみません、うちもほかから訴えられています。
敵対勢力属性をすべて悪者化しているせいで、それらの関係者から、誹謗中傷されたとの抗議が。
ええ、その、中にはリアル現在も子々孫々続いている方々がおられますんで。

だから、ここは「すべてフィクションです」って何度言ったら分るの?
これ、僕が韓流時代劇から学んだ逃げ道。

僕? 書き手は男なのだな……。

息子と孫とは、ともに優秀ではあったが、父および祖父には遠く及ばなかった。
足して二で割れば、文武両道となるものの、それぞれの特徴は薄まってしまう。
文にも武にも秀でた、と人々はエラそうに伝記を書きまくるが、そんなにそこら中に転がってはいない。
評価のハードルを世間一般並みに下げれば、大内家の先祖代々、文武両道でない者などいないはずである。

主の最大の誤算は、長生きしすぎたことだ。

佳人薄命

五十代まで生きると、二十歳の麗しい姿が霞むではないか。

それでも、世の中の人は、

応仁の乱で活躍した若き日の姿か、
歌集を編纂した往年の姿か、
あるいはその両方かを引き合いに出し、褒め称える。

どうやら、イケメン伝説が抜け落ちているではないか。

そこで、月下郎君になるにあたり、庭園の主は、永遠の若さと美しさを手に入れたのだ。

縁起を最後まで読んだ人には、その「理由」が分るけど、別に読まなくていいよ。

俺も永遠に十三歳。

ん? さっき↑微妙に年取ってたような?
幽霊になったって、死んだ時の姿で出て来ないか、普通? お前、どっかで先祖返りしたんだよなぁ。

じゃあ、きくけどさ、なんで、主の息子は、孫よりガキなの? お前の見た目年齢だって、ちょいズレてないか?

だよなぁ……。ホントおかしいよ、ここ。於児丸なんて、いきなり二十代とかワープすんのよ。俺もやってみてぇよ……

無理無理~。主役クラスじゃないと、画像が準備されてないからさ。お前は永遠に変身できない。ししし

なんだと!! じゃあ、於児丸は主役クラスだとでも?

選考基準はイケメン度だとさ。アイドル倶楽部申し込んでみたら?

アイドル倶楽部!? イケメン度!?……😵……、お、於児丸じゃないか。お前もその……アイドルってのに申し込んだのか?

ぎくっ……。き、きかないで……。こ、ここの「庭」はどこかがいかれてる……。
は、早く京に戻りたい……。