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終焉の地・宮島へ
だけど、五郎様は二度と周防に戻ることはなかった。
近くて遠い、目に見えているのに届かない、そんなもどかしい思いになる。
岩国駅
世界遺産・厳島神社へ向かうには、新幹線で広島からというルートのほか、飛行機で岩国に行き、そこから列車でというものがある。首都圏など、遠方から訪れる場合、飛行機を使うならば、広島空港より岩国ルートを使うのが普通。
となると、出発地点は山口県内なので、二県にまたがって観光が可能。
岩国には錦帯橋や、岩国城などがあり、県内の観光の目玉でもあるから、これを逃す手はない。
さりとて、普通に県内から宮島を目指す僕たちにとって、移動はそのまま五百年前と同じ。違う所は、船ではなく列車を使っていることくらい。
当時は現在の橋も城もなかったわけで、岩国で観光をした記憶もない。
大野浦
大野浦の写真は、車窓からのものとなった。イマドキの民には、当然、僕がどんな気持ちで同じ車内にいるかなんてわからない。
そして、この子どもにも……。


大野浦じたいには特に見るべきものがないのか、周辺を検索しても厳島神社や弥山といった、宮島の観光地が出て来てしまう。もちろん、原爆ドームや平和記念公園も出てくる。取り敢えず、新たに仕入れた情報としては、「宮浜温泉への玄関口」ということである(ウィキペディアより)。
ならば、なにゆえに、ここまで、大野浦にこだわるのか?
それは、岩国を出て、「あ、海だ!!」となるのがこの辺りからなので。
ここまでくると、もう宮島が近いのだと肌で感じられてぞくぞくするのである。
この感覚は、広島駅ルートだと味わえない。
(むしろ、安芸から攻め込む毛利軍となる……。後に、僕も『攻め込んで』みたけどね)
ちなみに、大野浦はとっくに広島県。廿日市市になる。
二度と戻れない旅を疑似体験しているとなれば、周防国を離れてしまっていると気付いて感傷的にもなるよ。

なるほど。地図を縮小し、下にスクロールすると、線路が海にピッタリ張り付く感じになる。僕たちが撮影したポイントは多分ここら辺だったんだ。
さらに、地図を観察すると、大野浦から宮島が本当に近いことが分かると思うよ。
最も近付く地点だと、文字通り目と鼻の先なんだ。
後から辿ってみることになるけども、船を求めて最後に辿り着いた辺りは、もどかしいの一言だったと思うよ……。