畠山家防長出張所

今回は畠山家の連中の話だ。相も変わらず無粋な者ばかり。嫌になるわ。

いちおう、一門衆にあたるのですよね?

こやつらは先祖代々武骨者で有名なのだ。まあ、館の守りでもやらせておくような輩だな。そなたとは育ちが違う。

しかし……畠山政長というのは、もっと「おっさん」ではないのですか? アイドルスカウトの人が声をかけるなんて。

手元に画像がないので、何とも言えぬが、どうも時空の歪みによって年齢も目茶苦茶だ。父親と息子が同じくらいの年齢のようだな。しかし……あの畠山義豊までも応募しているとは。アイドルをなんだと思っておるのかの?

将軍様がやんごとなきご身分でなければ、これほど相応しいお方はないと思うのですが……その……

我らも防長の地を目指そうではないか。ふふ。

えええーーーーー

勘違いするなよ。そなたを推挙するのだ。政元の元で、怪しげな修行を教え込まれる前に、アイドルとして訓練を受け、余を楽しませてくれ。

あわわ……そ、そんな……

春もうららかなある日。徳山駅前にて

えええ、そこのあなた!

ん? 私のことか? (他には誰もおらぬようだ……)

そうです、あなたですとも

で、私に何か?

いやぁ、あなたのような方を探しておりました。その憂いを含んだ微笑みといい、高貴な立ち姿といい、ここらでは見かけぬ逸材とお見受けしました

ここら、というのはどこであろうな?

は?

いや、その……気が付いたら、見たこともない場所に立っておったのだ……

む、ま、まさか……れいによって、あの千寿めが、怪しげな妖術を使って呼び寄せた『仕官希望者』か? ま、まあいい。館には紹介せずにここで雇ってしまえばいいのだ

実は、それがしはこういう者でして。名刺です

……? 何なのだ、この『紹介所』というのは? それに、アイドル、とは? また、防長とあるが、ここが周防や長門だなどと冗談を申すのではなかろうな? この私をだれだと思っている?

(むむ……見かけによらず傲慢な雰囲気……)ええと、その、どちらさまで?

畏れ多くも公方様の傍近くお仕えしている

げ……そういうのは困るな。すでに将軍とそういうことになっているのであれば面倒である……

この地の責任者は誰だ? 管領・畠山政長が参ったと伝えよ

は? え? か、かんれい、ですと?

早くせぬか!! この私を待たせるのか

これは大いにマズいことに……いったいどうすれば……

早くしろ!!

ええと、確か……畠山政長……(持っててよかった『歴史人物事典』)む? あなた様は、元『東軍』ですな。ううむ。これはますますマズい

何をブツブツ申しておるのだ?

その、現在、我らが主は、先々代の政弘様でして。あなた様を歓迎してくださるとはとうてい思えません。それどころか、ここにとどまっていると、命に関わりますぞ

何だと?

今すぐ、京にお戻りなされ。それがしもここで管領様をお見かけしたことは主には黙っておりますゆえ

ううむ。しかし……先ほどとうぐんとか言っておったが、何なのだ? 確かに日頃、大内介と交わりはないものの、命にかかわるとはどういうことだ?

あああ、なるほど。どうやら若すぎると思ったのですよ。また、時間軸がズレておりまするなぁ。アイドル紹介所に来るような年齢ではないはずですわな

訳がわからん。とにかく、大内介に会わせろ。私を歓待するということは、将軍様の側近を歓待するということ。名誉なことではないか

見かけによらず、限りなく傲慢だ……なにゆえ、こうも第二第三の陶が出るのであるかの。ちっとばかり見てくれが良いとすぐこうなる。どうせそれがしはネズミのような顔じゃよ

ぐずぐずするな!!

ままま。とりあえず、それがしの屋敷でおくつろぎください

何? この私が陪臣の屋敷などに赴くとでも?

いえいえ。分かっておりますとも。しかし……長旅でお疲れでしょうから……

暫し後。とある大邸宅前

ふん。あれこれ無駄口を叩きおって。結局大内介の館へ着いたではないか

狭苦しいことろですが、しばしお休みくださいませ。主に使いを出しますゆえ

な、ここは本当に、そのほうの屋敷なのか?

さようでございます

我が京屋敷より遥かに豪勢だ……一家臣の屋敷すらこれでは……大内介の邸宅はどれほどのものか……こやつら、国を挙げてため込んでおるのだな。将軍様にお知らせせねば

畠山政長

室町幕府・管領
推定年齢:二十五歳※見た目は十代なので、無理すれば使える。
ただし、性格に難あり。
アイドル紹介所スカウト担当:相良武任