第五十八話:対策会議

鷲塚昭彦は米国に向かい、ジョニー・吉田のマシンで千寿の許に向かった。吉田によれば、戦国モノは価値が下がっている、とのことだが。しかし、ちょうど有給を取った所でもあったし、なぜか、「早急に行かなければいけない」気がしたのだった。

吉田に計算して座標を入力してもらい、また、前回同様発信機に導かれることを信じた。

「ま、あんたもこれきりにしなよ。『合法的』に儲かる土器のほうにシフトしたほうが割に合うからな」

吉田の嫌味を無視し、儲けを度外視したタイムトリップに出発だ。

しかし、時空を超えるというのは、とんでもないことだ。一体誰がこのような乗り物(?)を発明したのか。勿論、タイムマシン技師である鷲塚にはどこの誰がいつ発明したか、開発まで道のりがいかに困難であったかについても、十分な知識はある。

ただ、実際に過去の時間に到着することは、鷲塚のような技術畑の人間にとっても、毎回毎回がそれこそ夢のような瞬間であった。考古学者や歴史学者たちの興奮ぶりは言わずもがなである。

そして、何の因果か1000年前の少年と奇妙な交流を始めてしまった鷲塚も、最近は彼に会う事で、何やら少年時代のワクワクドキドキした感覚を思い出してしまったようだ。

マシンは無事に着くべき場所に着いた。勿論、初めてのあの日のような、「ミス」もあり得るので、千寿の顔を見るまでは安心できないが。

マシンが1000年前に到着し、外に出た鷲塚。

前回と同じ、千寿の部屋の外であるようだ。

「山田ーー」

何やら、今にも泣きそうな声がして、千寿が鷲塚に駆け寄って来る。鷲塚も無事に正確な地点に来ることが出来たと知り、ほっと胸を撫で下ろした。

そこで、何やら第三者の声……。

「遅いではないか。今ちょうどその発信機とやらを片付けさせるところであった」

何と、あの妖艶なイケメン陶隆房がそこに立っているではないか。鷲塚は非常にやりにくいものを感じた。この男は苦手だ。

「そのほう、『きかい』の修理は出来るのであろうな? 今すぐ直すのだ。我らには時間がない」

完全に上から目線で命令されたのは兎に角、「修理」とは?

三人は千寿の部屋に入った。

鷲塚は敷山家に関する様々な説明を聞かされた後、ゲーム機を見せられた。

早速中身を確認する。

「これは……」

敷山家と対峙する有川家の城は悉く最大値に捏造されていたが、一方の敷山家もすべての城が完璧に難攻不落の堅城化されている。千寿の言うように、敷山家の連中も捏造を加える術を知っているかのように思える。

「何故敷山家の連中にまで『きかい』を売ったのだ?」

隆房がこれ以上ないくらいの憎悪を込めた視線で、鷲塚を睨みつけている。

「事と次第によっては、そのほうにはそれ相応の罰を受けてもらう。分かるであろうな?」

「ば、罰……?」

イケメンに睨まれるのは背筋が凍る……。

「成敗だよ」

千寿が付け加える。

「冗談じゃない。私が何をしたと? 君たちは、まさか、この敷山家という者に私が手を貸したとでも言いたいのか? それはとんでもない誤解だ。何がどうなっているのかは分からないが、私は無実だ」

鷲塚は抗議した。実際、この時代の者で知り合いは千寿だけである。まあ、大内の殿様や、隆房、相良というネズミのような男、その他名もない一部の者とも会話はしたが。それだけだ。敷山家などというのは、前回千寿と会った際に初めて知ったのだ。

「こいつらを何とかしてよ。『きかい』が壊れてるなら直して」