『秋風清々』
彼らは清々しい秋風のような人たちだった。
これは、尊敬する叔父、愛する友へのリスペクト。
大内家が最強だった時代の若き当主・義興様。
これは彼と生涯の友・陶武護、忠臣・陶興房らとが紡ぎ出した大内家が最も輝いていた頃の物語。
あるのはただの韓流時代劇的ブロマンス? いいえ、「完全なるノーマルです」。史実なんかどーでもいい、程度のインチキであることは認めますが……。
『秋風清々』
彼らは清々しい秋風のような人たちだった。
これは、尊敬する叔父、愛する友へのリスペクト。
大内家が最強だった時代の若き当主・義興様。
これは彼と生涯の友・陶武護、忠臣・陶興房らとが紡ぎ出した大内家が最も輝いていた頃の物語。
あるのはただの韓流時代劇的ブロマンス? いいえ、「完全なるノーマルです」。史実なんかどーでもいい、程度のインチキであることは認めますが……。
明応四年秋。父・政弘が世を去った後、義興は名実ともに大内家の主となった。いみじくも、父の予言通り、陶、内藤という同族一門や外戚として力を持つはずの家が力を失った […]
明応四年九月十八日。 大内政弘は病のため、帰らぬ人となった。応仁の乱において西軍の勇将として名を馳せた彼は、輝かしく青史にその名を残したが、一方で、私家集『拾塵 […]
「案内も請わずに失礼する」 そう言って、次の間から現れた武護の姿に、義興は勿論のこと、住職まで一瞬あっけにとられた。武護は向かい合って座る二人の脇で、床に手をつ […]
瑠璃光寺の蓮池は、篠の言葉通り、蓮の花が満開であった。しかし、義興には花を愛でる心の余裕などなかった。父の政弘は病重く、もはや風前の灯と言ってよい。だが、それに […]
「亀童を呼んでくれ」 病床の政弘が今小路に頼んだ。 「お前たちは、下がっていよ」 政弘は、今小路が止めるのもきかず、医者や傍仕えの者を全て外に追い出してしまった […]
病の床についている政弘の元には、妻の今小路がつきっきりとなっていた。 他の側室たち、息子たち、重臣たちも、足繁く通って来て、めっきり弱った主の姿を見ては涙してい […]
あの日、若山城で武護の「最後の話」を聞きに行った義興一行。彼らの側からも、武護に対してどうしても伝えなければならない重要な事があった。そして、周囲が心配していた […]
風薫る五月。 瑠璃光寺の本堂で、陶興房と住職が経を唱えていた。 ここは、陶弘房の菩提寺。つまり、興房の祖父を祀る寺である。 念仏がすんでから、興房が切り出した。 […]
陶・内藤両家による謀反。それに対しての義興による陶武護、内藤弘和の討伐。更に隠居・政弘による内藤弘矩の成敗等々、明応四年は大内家にとって散々な年となった。 周防 […]